日本政府はこのほど、プラスチック汚染対策の条約策定交渉に関する高野心連合(HAC※)に参加すると表明した。

5月29日から6月2日まで、プラスチック汚染対策に関する条約策定に向けた政府間交渉委員会第2回会合がパリで開催されている。日本の政府代表団は、会合に先立ち開催されたHACのイベントに参加し、HACへの参加を発表した。経済産業省が今回発表した内容は、以下のとおり。

日本は、プラスチックの大量消費国・排出国を含むできるだけ多くの国が参加する実効的かつ進歩的な条約の策定を目指している。この目標に基づき、2022年11月の政府間交渉委員会第1回会合をはじめ、日本が議長国を務めたG7サミットや気候・エネルギー・環境大臣会合などにおいても、関連議論を牽引してきた。

政府が今回HACへの参加を決定した理由は、次である。54の国と地域が参加するHACでの議論に参画し、プラスチックのライフサイクル全段階で汚染対策に向けた取り組みをHACとして促すこと。各国の状況と社会経済的影響を考慮し、できるだけ多くの国が参画する実効的かつ進歩的な条約の策定に貢献することが重要であるとの立場を日本政府がとっていることだ。

日本政府は、政府間交渉委員会第2回会合においても、日本の立場から交渉に臨むとしている。

現在、プラスチック汚染への取り組みが世界で加速している。2023年3月、プラスチックごみに関する法的拘束力のある国際条約を2024年までに策定する決議案が国連環境総会において採択された。政府間交渉委員会が設立され、2024年末までの国際条約案の完成が計画されている。

今回の会合開催にあたり、国連環境計画(UNEP)環境保護団体をはじめとする組織は見解を発表している。会合において、各国の立場が明確にされるとともに、さまざまな提言・知識・ベストプラクティスが共有され、実効性のある国際条約が策定されることが期待される。

※ プラスチック汚染に関する高野心連合(HAC:High Ambition Coalition to end plastic pollution):2040年までにプラスチック汚染を終わらせるとの目標を掲げ、持続可能な水準のプラスチックの生産・消費、プラスチックの資源循環(リサイクル)の促進、プラスチックごみの適正管理などを追求する国家のグループ。ノルウェーとルワンダが共同議長を務め、日本を含め現時点で55カ国が参加している

【プレスリリース】プラスチック汚染対策の条約策定交渉に関する高野心連合(HAC)へ参加します
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