株式会社JEPLANと太陽誘電株式会社は6月4日、電子部品の一種である積層セラミックコンデンサ(MLCC)の製造工程で使用されるPETフィルムを、ケミカルリサイクル技術によってPET原料(BHET)に再生する協業を発表した。この取り組みは2026年からの順次導入を予定している。

MLCCの製造プロセスでは、絶縁体の役割を果たす誘電体材料をPETフィルム上に薄く均一に塗布する工程が不可欠だ。この工程で使用されたPETフィルムには誘電体が付着しており、従来のリサイクルは、この不純物を機械的に除去した後にフィルムを粉砕し、ペレット状のPET原料に戻すマテリアルリサイクルが主流だった。しかし、この方法ではフィルム自体に含まれる添加物などの微細な不純物を完全に取り除くことが困難という課題があった。

今回の協業では、JEPLANが持つ独自のPETケミカルリサイクル技術を活用する。この技術は、使用済みのPETを化学的にモノマーの一種であるBHET(ビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレート)のレベルまで分解することで、フィルムに付着した誘電体や、素材自体に含まれる添加物といった不純物を効率的に除去できる。これにより、石油から新規に製造されるPET原料と同等品質の高純度なBHETを再生できることを両社で確認した。

再生されたBHETは、再びPETフィルムの原料として利用されるだけでなく、PETボトルやポリエステル繊維など、多岐にわたるPET製品の原料として幅広く活用が可能だ。今回の取り組みは、これまでリサイクルが難しかった産業由来のPETフィルムを高品質な資源として循環させるもので、新たな化石資源の使用削減と、それに伴うCO2排出量の削減に貢献する。

JEPLANは、使用済みPETボトルやポリエステル繊維を対象としたケミカルリサイクル事業をすでに商用展開しており、神奈川県川崎市と福岡県北九州市の2拠点でリサイクルプラントを運営している。今回の太陽誘電との協業は、その技術応用範囲を電子部品の製造工程から排出される産業廃棄物へと拡大するもので、同社が掲げる「あらゆるものを循環させる」というミッションを具現化する動きだ。

太陽誘電は、コンデンサやインダクタなどの電子部品をグローバルに供給するメーカーだ。素材開発から製品化までを一貫して手掛けることを強みとしており、スマートフォンや自動車、情報インフラなど幅広い分野で事業を展開している。

【プレスリリース】JEPLAN・太陽誘電:積層セラミックコンデンサPETフィルムをケミカルリサイクルによりPET原料(BHET)に再生
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