三菱ケミカル株式会社(以下、三菱ケミカル)はこのほど、Jリーグサッカークラブのギラヴァンツ北九州と共同で、三菱ケミカルの生分解性樹脂「BioPBSTM」を使用した紙コップを利用して、コンポストによる循環型システム実現に向けた実証試験を実施すると発表した。

同実証試験では、ギラヴァンツ北九州が8月22日・28日に開催するサッカーイベント「ギラヴァンツサマーフェスティバル 2021(※)」に、BioPBSTMを使用した紙コップ約6,500個を提供し、使用された紙コップを回収してコンポスト設備で食品残さなどと一緒に堆肥化する。出来上がった堆肥の一部は地元高校で野菜栽培に活用し、収穫された野菜をスタジアムで販売することで、紙コップを起点とした循環型システムの構築を目指す。堆肥化を担当するのはNTTビジネスソリューションズ株式会社と株式会社ウエルクリエイト社で、ウエルクリエイト社の食品残さ発酵分解装置「フォースターズ」を使用する。三菱ケミカルはBioPBSTMを提供するとともにシステム全体を統括し、複数の企業や学校と協働していく。

三菱ケミカルホールディングスグループは、中長期経営基本戦略「KAITEKI Vision 30」を掲げ、サーキュラーエコノミー推進を重要項目として位置付けている。今後も三菱ケミカルはさまざまな企業・自治体などと連携しながら、循環型システム構築を積極的に実施し、サーキュラーエコノミーへの移行に貢献していく構えだ。

同実証試験の協力企業・団体(順不同)

株式会社ギラヴァンツ北九州、株式会社サンマーク、福岡県立行橋高等学校、行橋市役所、サッポロビール株式会社、NTTビジネスソリューションズ株式会社、株式会社ウエルクリエイト、日本マタイ株式会社、株式会社東和プロセス、東洋アルミエコープロダクツ株式会社、株式会社日本HP、一般財団法人グリーンスポーツアライアンス、株式会社電通グループ、株式会社電通

BioPBSTM

三菱ケミカルが開発し基本特許を有し、三菱ケミカルとタイのPTT Global Chemical社が折半出資するPTT MCC Biochem Company Limitedが製造する植物由来の生分解性樹脂。自然界の微生物によって水とCO2に分解されるため、自然環境への負荷が少ない樹脂素材で、他の生分解性樹脂に比べて低温ヒートシール性・耐熱性・柔軟性などで優れた性能を有するとしている。通常、紙コップの内側には耐水性のためにポリエチレン(非生分解性樹脂)でラミネート加工されているが、ラミネート材料にBioPBSTMを用いることで、紙コップ全体がコンポスト設備や土壌で分解可能になる。BioPBSTMを使用した製品は、2020年6月に三菱ケミカルが日本製紙株式会社と共同発表した。両社は、BioPBSTMと日本製紙株式会社の再生可能な紙製バリア素材「シールドプラス®」から構成される循環型包装材を共同開発し、容器包装として国内外で展開する予定であるとしている。

※:新型コロナウイルス感染症の状況により、開催内容が変更される可能性あり

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*記事中の画像の出典:三菱ケミカル株式会社