農林水産省は8月23日、加工食品向けのカーボンフットプリント(CFP)算定ガイド案の実証を完了し、その妥当性が確認されたことを公表した。実証の結果、CFP算定ガイド案は一定の妥当性を持つものの、今後もさらなる議論が必要だと指摘されている。この実証は、2024年1月から3月にかけて、イオン株式会社、株式会社セブン&アイ・ホールディングス、明治ホールディングス株式会社が参加し、牛乳や食用油の原材料調達段階から廃棄・リサイクル段階までを対象に行われた。

実証実験を行った背景には、気候変動による食料生産の不安定化や温室効果ガス(GHG)の排出削減の必要性がある。食品産業は、生産から消費までのサプライチェーン全体を通じて環境負荷低減に取り組むことが求められ、CFP算定の導入の必要性が指摘されている。「みどりの食料システム戦略」の一環として設置された「温室効果ガスの見える化作業部会」では、フードサプライチェーン全体の脱炭素化を推進し、加工食品業界共通の算定ルール作りが重要視されてきた。

今回の算定ガイド案は、食品関係事業者等が中心となり策定し、算定実証を行った。製品のライフサイクル全体、すなわち原材料調達から廃棄・リサイクルまでの段階を対象とし、食品の環境負荷を「見える化」することで、業界全体でのGHG削減に向けた取り組みが促進されることが期待される。同省は、引き続き算定ガイドにかかる実証を実施するとしている。

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(※画像の出典:農林水産省)