YKK AP株式会社は2月27日、富山大学のアルミリサイクル研究機関「先進アルミニウム国際研究センター」に1000万円寄付した。

同社は、アルミリサイクルの研究推進を目指す産学融合拠点構想プロジェクト「富山資源循環社会モデルの創成」に賛同している。「先進アルミニウム国際研究センター」の共同研究棟は、同プロジェクト推進研究拠点として富山大学 高岡キャンパス(富山県高岡市)内に新設移転される予定だ。

同プロジェクトは、富山県を拠点とした日本のアルミニウム産業の活性化やアルミリサイクルの研究推進、金属材料生産拠点形成の前駆的組織構築を目的としている。現在利用不可能な用途に対して、アルミスクラップからの再生地金の利用を可能にする研究開発を実施する。

加えて、富山におけるリサイクルシステムを地域の全ステークホルダーと共に構築し、富山のアルミの環境付加価値を向上させ、新市場進出を支援することを目指す。こうした活動を通じて、富山で創成する資源循環社会モデルを日本全国で展開し、富山県の工業の持続的発展・日本のアルミ産業の発展・地球規模での環境保護などに貢献したい考えだ。

同プロジェクトの代表機関は富山大学、幹事機関は高岡市・三協立山株式会社・YKK AP株式会社・東北大学で、そのほか14機関が参画。経済産業省令和3年度「産学連携推進事業費補助金(地域の中核大学の産学融合拠点の整備)」事業や、科学技術振興機構「2022年度共創の場形成支援プログラム(地域共創分野・育成型)」に採択されている。

YKK AP株式会社は窓・カーテンウォール・エクステリア商品などの材料にアルミニウムを使用しており、アルミリサイクルに対する取り組みを進めるなか、同プロジェクトで幹事企業を務める。

一般社団法人日本アルミニウム協会によると、世界のアルミ需要は2050年までに50%以上増加すると予測されている。新地金を製造する工程で大量の電力を消費するが、アルミ製品の原材料を新地金からリサイクル材に置き換えると、消費エネルギーとCO2排出量を97%削減できるため、アルミのリサイクル率は高い。日本におけるアルミ原料のリサイクル材使用率は現在48%で、一般社団法人日本アルミニウム協会は2050年のリサイクル材使用率の目標を75%に設定している。同プロジェクトが、アルミニウムの製造における環境負荷を大きく削減できるリサイクルの推進と、富山での資源循環社会モデル構築に貢献していくことが期待される。

【プレスリリース】「富山資源循環社会モデルの創成」に賛同し、アルミリサイクル技術の共創を加速
【参照サイト】「富山資源循環モデル創成にむけた産学官共創拠点」キックオフシンポジウム
【参照サイト】共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)【地域共創分野】
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*冒頭の画像は、「先進アルミニウム国際研究センター」共同研究棟 完成予想図(出典:YKK AP株式会社)