経済産業省は3月29日、「GXスタートアップの創出・成長に向けたガイダンス」を公表した。脱炭素と産業競争力強化・経済成長を同時に実現するGX(グリーントランスフォーメーション)に取り組むスタートアップに向けた、新たな成長モデルの創出を支援するためのガイドラインだ。
GX分野特有の市場リスクを踏まえたLOI(Letter of Intent、基本合意書)などの需要表明手法や、期待収益率を踏まえたスタートアップ・ファイナンスの多様化などについて、国内外の活用事例や実務上のポイント、成長ステージ等に応じた複数の「ひな形」などを示している。
国際エネルギー機関(IEA)の2023年の分析によると、2050年のカーボンニュートラルの達成に向けて必要な排出削減の約35%は、いまだ商用段階にない技術によるものと推定されている。技術イノベーションを促進し、GX分野の成長市場を早期に取り込み、企業のGXを推進するためには関連分野のスタートアップの創出と成長が必要だ。その一方で、技術や事業が確立するまでの研究開発に大規模な資金を要し、事業化までの時間軸が長いといった課題がある。
GXスタートアップ成長の壁として、量産化前の「ミドル期」が挙げられる。製品ができないと売上見通しが立たず、売上が見込めなければ資金調達ができないという停滞構造だ。この構造を解決する手段として、顧客によるLOIやオフテイク契約といった需要表明や、スタートアップによるデット・ファイナンスの活用が挙げられる。
ガイダンスは、この2つの手段について、事例分析を元に具体的なメリットや実務上のポイントを解説している。特に第4章の「ファイナンス多様化」では、海外のGXスタートアップが事業の期待収益率に鑑みファイナンス手法を多様化させている現状を紹介。「GX分野特有の課題解決には、これまでのエクイティプレイヤーに加え、金融機関などによるデットの役割が鍵を握る」と示唆する。
「GXスタートアップの創出・成長に向けたガイダンス」概要
- 第1章 日本のGXスタートアップの現状と課題
- 第2章 GXスタートアップ成長軌跡からの学び
- 第3章 需要創出~LOIやオフテイク契約の活用
- 第4章 ファイナンス多様化~融資の活用~
【プレスリリース】「GXスタートアップの創出・成長に向けたガイダンス」を策定しました
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