マイクロソフトは、同社の直接事業や製品・包装から生じる廃棄物を2030年までにゼロにする目標を表明した。同社はすでに2030年までにカーボン・ネガティブ(CO2の大気中への排出量よりも吸収量の方が多い状態)を実現する目標を発表しているが、廃棄物ゼロという野心的目標も新たに加わった形だ。2008年からすでに開始している取り組みを踏まえて、同目標を掲げてさらに加速させる。
これを受け、さまざまな施策が実施される。例えば、AzureやMicrosoft 365を提供するデータセンター内に「循環センター(Circular Centers)」を設置し、電子廃棄物をリサイクル業者に送る代わりに、現場で分別して再利用またはリサイクルすることを施策の目玉として掲げる。
データセンターのサーバーの寿命は5年程度で、多くの電子廃棄物が発生する。マイクロソフトはアムステルダムの循環センターを試験的に運用し、その試験運用期間に基づいて、2025年にサーバーと部品の再利用を最大90%増加させる。今後、新設の大型データセンターの敷地内にリサイクル施設を設置する構えだ。
さらに、マイクロソフトは、2025年までに主要製品やデータセンターのIT関連資産の包装について、使い捨てプラスチック使用を停止する。同社の広報担当者は、「毎年約3億トンのプラスチックが生産され、そのうち50%が使い捨てプラスチックです。プラスチック廃棄物の半分は包装から発生しています」と述べた。
このほか、同社の製品「Surface」を100%リサイクル可能にすることや、廃棄物データのデジタル化によって社内の廃棄物量をより正確に評価することも一連の施策に盛り込む。
また、持続可能な消費財と高度なリサイクル技術への投資で知られる米サーキュラーエコノミー専門の投資会社Closed Loop Partnersのファンドに3,000万ドルの投資を行い、サプライチェーンのデジタル化や電子廃棄物の回収、食品廃棄物の抑制、大規模な循環型製品の製造支援などを行うとしている。
「廃棄物ゼロは野心的な目標だ。自然資源を保護し廃棄物由来の炭素排出を削減して、世界中の経済社会が世代を超えて繁栄するために、廃棄物を最小限に抑えることが不可欠です」と同社は述べている。
【参照記事】Microsoft commits to achieve ‘zero waste’ goals by 2030