サーキュラーエコノミーに移行し、資源のループを閉じるには、製品とサービスのサーキュラー化は必須だ。それでは、企業はどのようにすれば製品やサービスのサーキュラーデザインが可能となるのだろうか。
英国サーキュラーエコノミー推進機関 エレン・マッカーサー財団学習プログラムFrom Linear to Circular #2 「サーキュラーエコノミーのためのデザイン」のなかで、サーキュラーエコノミーにおけるデザインの重要性について触れた。
デザインとは意思決定の集合体であり、どのように製品が作られて利用され、価値を失うことなく経済にとどまり続けるか、もしくは廃棄され海を汚染する存在になるか、を決定づける。つまり、製品・サービスやそれらを取り巻く仕組みそのものをサーキュラー型に変えていくか、リニア型のままにするかを決定づけているのだ。
サーキュラーエコノミーのための製品・サービスデザインは、身の回りにあるリニア型の製品やサービスの始まりから終わりまでを循環するように考えるところから始まる。
製品・サービスが完全に循環するものになれば、姿を変えながらも「終わる」ことはない。円の中を循環し続けるはずだからだ。そこで、本記事では「Product Journey Mapping」を紹介したい。これを行うことで、製品・サービスを使い続けることが可能になり、ステージを移ろうごとに新たな付加価値を与えることが可能になる。
Product Journey Mappingシートをダウンロードして、次の手順で考えてみよう。
ステップ1
まずは、製品やサービスを選んで、自分で次の質問への答えを考えてみよう。「この製品・サービスはどのくらいの期間利用されることを想定して作られているのだろう?その期間を延長することは可能だろうか?」
ステップ2
続いて、次の質問への答えを考えよう。「利用された後、その次に何が起こるだろうか?」1〜5の「次」を考えよう。うまく循環する製品が作れていれば、5まで行くと、その次は1に戻るはずだ。
- 自然界に資源として戻すことができるか?(生分解できるパッケージなど)
- 別の利用者に再利用してもらう・別の目的で利用してもらうことはできるか?(例:利用されなくなったスマホは別の市場で利用してもらう、飲み終わったワインの瓶をインテリアなどに再利用するなど)
- 修理や改装が可能か?(革製ブーツを修繕して使い続けるなど)
- パーツを分解して、次の製品の製造に使うことはできるか?(スマホの外側を外して新しいモデルにも使うなど)
- リサイクルできるか?(金属を溶かし、次の製品の資源にするなど)
ステップ3
1〜5を、何周かやってみよう。選んだ製品・サービスの異なる部分に着目して考えると見えてくるものがある。何周か考えると、だんだん小さな部品・要素に分かれてくるはずだ。
ステップ4
使い終えたあと、再利用や回収、回復における課題は何か考えてみよう。(例えば、製品はすでにリサイクル可能な資源で作られているのにリサイクルされていない現状がある場合、何が課題となっているのか考えてみよう)
ステップ5
循環できない部分は、どのように再設計できるか考えてみよう。利用する資源の特性から考えてみると、よりよいプロセスや代替素材が見えてくるはずだ。
ヒント:エレン・マッカーサー財団学習プログラムFrom Linear to Circular #2 「サーキュラーエコノミーのためのデザイン」の記事中で紹介している、サーキュラーデザイン、6つの戦略を参考にしながら考えてみよう。6つの戦略とは、「安全で循環する素材を選ぶ・製品寿命を長くする・モジュール化する・非物質化する・製品からサービスへ・資源を「内側の円」に留めるデザイン」である。
(記入例)
Product Journey Mapping活用例:リニアエコノミーの仕組みの現状
Ellen MacArthur Foundation “From Linear to Circular” Week 2より
Product Journey Mapping活用例:サーキュラーエコノミーではこう変わる
Ellen MacArthur Foundation “From Linear to Circular” Week 2より
Circular Economy Hubのワークショップ
Circular Economy Hubでは、サーキュラー型商品やサービスを構築するサーキュラーデザインワークショップを行っています。下記のような方が対象です。
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【関連記事】エレン・マッカーサー財団学習プログラムFrom Linear to Circular #2 「サーキュラーエコノミーのためのデザイン」
【参考サイト】エレンマッカーサー財団 Circular Design Guide “Product Journey Mapping” Worksheet