三菱マテリアル株式会社は12月18日、スイスに本社を置くElemental Holdings SAが保有する、米国の電子廃棄物リサイクル事業会社Elemental USA E-Waste & ITAD, Inc.の株式を一部取得すると発表した。今回の出資を通じて、同社は米国における資源循環ビジネスの拡大と、使用済み電子機器を原料としたリサイクル体制の強化を目指す。
三菱マテリアルは、中期経営戦略(2026~2028年度)において「資源循環ビジネスで未来を創る企業へ」を基本方針に掲げ、欧州、米国、アジアを中心としたグローバル展開を進めている。特に、使用済みの電子機器などから出る電子廃棄物などを原料とする二次原料製錬への転換を重要な成長戦略と位置付けている。Elementalは都市鉱山分野における世界的なリーディング企業で、米国ではElemental USAの完全子会社であるColt Recycling LLCを通じて電子機器廃棄物の回収・リサイクル事業を展開している。Colt Recyclingは、全米4拠点で年間約1万8,000トンの電子廃棄物を処理しており、回収・処理能力の拡大を続けている。
今回の出資は、米国における電子廃棄物を含む二次原料の回収量拡大や回収ネットワークの強化に加え、三菱マテリアルが進めるリサイクルプラットフォームの高度化にも寄与する。三菱マテリアルはすでに、米国で二次原料製錬事業を開発するExurban Limitedに出資しており、今回の取り組みはその上流にあたる原料調達力の強化を目的としたものとなる。
また、両社は、循環型かつ低炭素な経済への移行を支えるリサイクル素材のグローバルサプライチェーン構築という共通のビジョンを有している。今後は、電子廃棄物のリサイクル事業の戦略的拡大やM&Aを通じた成長加速、米国および海外での回収ネットワーク強化、高品質な二次原料へのアクセス向上を共同で進める方針だ。
さらに、金属回収率やサステナビリティ、処理能力の向上を目的とした設備投資や技術導入の支援に加え、将来的にはColt Recyclingから三菱マテリアルグループが米国で建設を検討している二次原料製錬所への原料供給も視野に入れ、長期的なサプライチェーンの構築を目指すとしている。
今回の出資は、三菱マテリアルが米国で構築を進める二次原料サプライチェーンを上流から強化する動きとして注目される。
【プレスリリース】Elemental USA E-Waste & ITAD, Inc.の株式取得に関するお知らせ
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