パナソニック株式会社くらしアプライアンス社と三菱マテリアル株式会社は1月17日、廃家電から回収した廃プリント基板を基に非鉄金属を再資源化し、パナソニックグループで再活用する「PMP(Product-Material-Product)ループ」の構築・運用状況を発表した。このスキームにより再資源化された都市鉱山資源は、累計で金1.1トン、銀33トン、銅8,100トンだという。両社によると、こうした定常的な資源循環モデルは業界初である。

廃プリント基板の回収プロセスは、パナソニック傘下のパナソニックETソリューションズ株式会社(PETS)が担う。全国の家電リサイクル工場や家電製品等の修理拠点から回収した後、加工処理をパートナー企業に委託。破砕・製錬処理を通して不要な鉄・アルミ資源を除去した状態で、三菱マテリアルに納入する。

その後、三菱マテリアルが製錬処理により金・銀・銅を取り出し、素材としてPETSに返還。こうして得られた非鉄金属が、金メッキ液や銅線などに加工され、再びパナソニックグループの製品製造に使用される仕組みだ。

PMPループのもう一つの大きな成果は、CO2削減効果だ。金属資源を鉱石から製造するという従来の工程を代替することで、累計で約3.3万トンのCO2排出削減を実現したという。

また、回収された銅は、2025年大阪・関西万博でのパナソニックグループパビリオンにも活用される予定だ。

このリサイクルマネジメントは、国内で進められている「成長志向型の資源自律経済戦略」や「循環型社会形成推進基本計画」の目標達成に寄与することを目指している。

両社は、非鉄金属リサイクルの認知向上を目指しPMPループを拡大するとともに、多様なパートナーと連携し新たな品目でのスキーム構築を進めている。資源の有効活用や環境負荷軽減に貢献し、サーキュラーエコノミーの進化と、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいく方針だ。

【プレスリリース】廃プリント基板を活用した持続可能な「PMP(Product-Material-Product)ループ」を促進
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