株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は4月26日、持続可能な環境および社会の発展に寄与していくための取り組みの方向性を提示した「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」の改定版を公表した。6月1日から適用を開始する。
同フレームワークは2018年、グループ各社の事業活動により生じる環境・社会に対するリスクを「真摯に対応すべき経営上の重要課題」として、様々なステークホルダーの意見や考え方を踏まえ、「MUFG環境方針」「MUFG 人権方針」のもと制定。事業活動の変化やビジネス環境の変化に応じて定期的に見直し、高度化を図っている。19年にESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組み強化を反映、今回は石炭火力発電、森林、パーム油の3セクターに関するファイナンス方針を改定している。
MUFGは、21年からの新中期経営計画でも気候変動対応・環境保全を最も重要な取り組みの一つとしており、パリ協定の合意事項達成のため、事業を通じて脱炭素社会へのスムーズな移行を支援し、環境と経済の好循環による持続可能な社会の実現に貢献する姿勢を明示している。特に、カーボンニュートラル実現に向けてビジネス機会とリスク管理の両面から対応すべく「再生可能エネルギー」「水素・次世代エネルギー」「カーボンリサイクル」を重点領域として推進する。さらに、従来2030年度までの累計で20兆円としていたサステナブルファイナンス目標を35兆円に上方修正した。今回のフレームワークの改定もこうした動きに続くものだ。
石炭火力発電セクターについては、改定前、新設の石炭火力発電所へのファイナンスは原則として実行しない旨を定めていたが、今後は新設の発電所に加え、既存発電設備の拡張にはファイナンスを実行しないこととした。ただし、パリ協定目標達成に必要なCCUS (二酸化炭素回収・利用・貯留技術、混焼等)の技術を備えた石炭火力発電所は、個別に検討する場合があるとしている。
森林、パーム油セクターでは、ファイナンスを検討する際は、国際的に認められている認証の取得や、取得に係る行動計画の提出などを取引先に求め、環境・社会配慮の実施状況を確認する旨を定めていたが、森林セクターでは「違法な伐採や保護価値の高い地域における森林破壊(deforestation)が行われていないこと」を確認する旨を追加。パーム油セクターでは「森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ」(NDPE: No Deforestation, No Peat and NoExploitation)を遵守する旨の公表や、公表がない場合は履行に向けた行動計画を提出する旨を追加した。
【参照】「MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク」の改定について
※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「HEDGE GUIDE」の記事を転載しています。