野村不動産株式会社は3月18日、「Link NATURE Action」を策定し、ネイチャーポジティブ実現に向け、生物多様性保全のための具体的な取り組みを発表した。同社の住宅事業および都市開発事業において、緑化基準の引き上げや在来種の植栽、木材を活用した建物計画、生物多様性認証の取得を推進する。

野村不動産は、不動産開発が自然資本に依存し、大きな影響を与えることを認識。コンサルティング会社の監修のもと、具体的な定量指標を設定した。

住宅事業では、首都圏の新築分譲マンション「プラウド」をはじめ2024年7月以降に設計を開始した物件から順次対応。現時点で80物件が本取り組みに沿って計画されている。都市開発事業では、2025年度の計画物件から適用予定である。

具体的な取り組みとして、行政が定めた緑化基準に対し110%以上の緑化率を確保し、地域の在来種を60%以上採用することで生態系ネットワークの形成に貢献する方針だ。また、木材を活用した建物計画を推進し、一定規模以上の開発では生物多様性認証の取得を原則とする。

野村不動産はこれまでも、ABINC認証(いきもの共生事業所認証)やJHEP認証(ハビタット評価認証制度)を取得したプロジェクトを進めてきた。例えば「BLUE FRONT SHIBAURA」では、在来種の採用比率を80%以上とし、周辺地域との生態系ネットワーク構築を目指した。また「プラウドシティ武蔵野三鷹」では、既存樹の保全と調和を図る緑地計画が評価され、認証を取得している。

建物計画における木材活用も強化する。木造ハイブリッド構造や木造共用棟を採用し、森林資源の循環を促すことで、生態系の維持や炭素循環社会への貢献を目指す。住宅事業では、全物件で木材を内装材として使用する基準を設けた。

【プレスリリース】住宅事業および都市開発事業における生物多様性保全のための取り組み「Link NATURE Action」を策定
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