NTT西日本グループの株式会社であるNTTフィールドテクノ(以下、NTTフィールドテクノ)と株式会社ミダック(以下、ミダック)、株式会社ウエルクリエイト(以下、ウエルクリエイト)、株式会社青空農園(以下、青空農園)はこのほど、事業系一般廃棄物の回収・処理を実施することを発表した。食品残さの堆肥化リサイクルを目的として、堆肥化処理装置を搭載した車両「移動式循環リサイクルカー」を使用する。また、同車両に隔離した専用スペースを設け、野菜などの商品を積込み運搬することにより、「動静脈一体型の運搬システム・リサイクルループ」を形成し、小口食品残さの堆肥化リサイクルを促進する実証実験を静岡県浜松市で開始した。
同4社が事業系一般廃棄物の回収・処理を実施するに至った背景は、以下のとおりだ。日本では一般廃棄物の減量化・再資源化は各自治体共通の課題であるが、特に浜松市はごみ減量化の推進活動を実施するなど、積極的に活動していると4社はみている。食品残さは水分を多く含むため、ごみ処理には多くの費用とエネルギーが必要であり、食品残さの再資源化リサイクル方法の一つとして堆肥化があるが、小口食品残さのリサイクルには不向きであると4社は認識している。そこで堆肥化装置を車両に搭載した「移動式循環リサイクルカー」を考案した。
移動式循環リサイクルカーは、回収と処理を同時に行えるため、車両の大きさを縮小できるとともに、小口食品残さの回収に適していることから、効率的な回収による利点があると4社はみている。燃えるごみとしての廃棄に比べて、ごみ処理費用を削減し、CO2排出量を抑制でき、脱炭素化に貢献するとしている。同車両は、中央に食品残さの堆肥化処理装置を搭載しており、24時間で堆肥化できる。荷台には野菜などを配送・販売するための棚と保冷設備を完備しているため、1台で2つの役割を持つ。さらに、同車両は災害時、腐敗や臭いの出る食品残さを被災地に迅速に回収しに行くと同時に、支援物資を届ける「災害救援車両」としての活躍が期待できると4社は発表している。
(出典:NTTフィールドテクノ、ミダック、ウエルクリエイト、青空農園)
食品残さの堆肥化リサイクルを目的とした同実験は、移動式循環リサイクルカーでの動静脈一体型運搬システム・リサイクルループの実証実験で、NTTフィールドテクノが全体運営を担当する。各自治体の共通課題とされる小口食品残さリサイクルを運用・コスト面で実現できるかを検証するべく、2021年2月~2021年5月(予備期間を含む)までの期間、以下のとおり実施される。
- ミダックは、浜松市内の小学校やスーパーを対象に、移動式循環リサイクルカーで食品残さを回収し、24時間で一次発酵を行いながら、野菜などの食品を配送・販売する
- 一次発酵物は、ウエルクリエイトが運営するリサイクルセンターに持ち込み、二次三次発酵後に堆肥となったものを青空農園が運営する畑で利用し、野菜などの農作物を育成する。
(出典:NTTフィールドテクノ、ミダック、ウエルクリエイト、青空農園)
移動式循環リサイクルカーは、NTTフィールドテクノとウエルクリエイトが共同開発した。ミダックは、回収業務における各種データを蓄積・解析するとともに、浜松市環境部ごみ減量推進課と共同で浜松市内の小学校で出前授業を行う。給食残さを堆肥化装置に投入し、リサイクル体験を通じて同実証実験である堆肥化リサイクルループや、SDGs・食品ロス問題について子供たちが学べる機会を提供するとしている。NTTフィールドテクノは、食品残さ回収と野菜配送・販売の効率的運用に向けたICT活用を検討し、サービス化に向けた事業性を検証する。
(出典:NTTフィールドテクノ、ミダック、ウエルクリエイト、青空農園)
今後4社は、実証実験の知見を踏まえて、動静脈一体型運搬システム・リサイクルループの仕組みが小口食品残さリサイクル拡大につながるよう、ICTを活用した運用効率化や野菜配送・販売サービスの高度化などについて検証を進め、地域経済活性化に貢献するべく、連携して取り組んでいく意向だ。
【プレスリリース】動静脈一体型運搬システム・リサイクルループ実証実験の開始について