凸版印刷株式会社(以下、凸版印刷)はこのほど、浴室でも使える紙パックを4月より生産開始することを発表した。

「価値あるパッケージ」で、よりよい社会と心豊かで快適な生活に貢献する「TOPPAN S-VALUE™ Packaging(※1)」を掲げる同社は、「サステナブル バリュー パッケージ™」を提供している。「サステナブル バリュー パッケージ™」のラインアップの一つとして、紙容器では難しいとされていた水回りで常時使用できる新しい紙パック「キューブパック™」を開発し、2021年4月より本格生産を開始する。太陽油脂株式会社のボディソープ製品と株式会社コーセーの日やけ止めクリーム製品で、「キューブパック™」の本格採用が決定した。

株式会社コーセー 日やけ止めクリーム「サンカット マイルド クリーム」(出典:凸版印刷株式会社)

同製品の特徴は、以下のとおりだ。

水回りで使用可能

独自の容器構造により、容器底部に紙の端面が露出しない構造を実現した。プラスチックボトルとほぼ同じ耐水性を持つため、浴室・台所・洗面所など、濡れた場所にも常時設置できる。

プラスチックボトルと比較して、石化由来材料を約55%削減

同製品を採用することで、従来のプラスチックボトルと比較して石化由来材料を約55%削減できる。基材となる紙素材には、森林認証紙を使用している。

(出典:凸版印刷株式会社)

既存充填機の流用可能

「キューブパック™」への内容物充填には、既存のプラスチック容器の充填機を使用できる。

ポンプを付け替える「付け替え容器」として使用可能

従来の紙パックでは構造上不可能だった、口栓を中央に付けられる形状を実現したため、ポンプを付け替える「付け替え容器」として使用できる。

内容物の品質保持にも対応

紙パック内部に同社が独自開発した透明バリアフィルム「GL FILM(※2)」を接着させており、高い品質保持性を持つ。

平らな状態で納品でき、輸送・保管コストを削減

平らな状態から、ボックス型に組み立てる「組み立て式」を採用した。最初は同社が製函して、顧客に納入する形式で開始するが、将来的には、顧客の生産ラインに製函機を導入し、顧客が製函することで、「キューブパック™」を平坦な状態で輸送・保管できる。これにより、占有容積を従来の同容量のプラスチックボトルと比較して大幅に削減できるため、積載効率が向上し、保管スペースを大幅に削減できる。

将来的な「キューブパック™」の生産~製函~充填の流れ(出典:凸版印刷株式会社)

太陽油脂株式会社の石けん・化粧品営業企画グループ グループリーダーの内山洋氏は、「当社は、『心豊かで健康的な暮らしの実現と、社会・自然の持続可能な発展に貢献する』ことを使命とし、事業活動において環境への取り組みを積極的に行っています。この取り組みのなかで、プラスチック使用量削減の観点から「キューブパック™」に着目し、製品で採用いたしました。今後「キューブパック™」の採用製品拡大を通じて、環境への取り組みをさらに加速して参りたいと考えております」と述べている。

株式会社コーセーの執行役員 商品デザイン部長である長谷川匠氏は、「当社は、2020年4月に『コーセー サステナビリティ プラン』を発表し、持続可能な社会・地球環境への貢献を目指した取り組みを推進しています。この取り組みのなかで、凸版印刷の「キューブパック™」と出会い、日やけ止めクリーム製品で採用いたしました。「キューブパック™」をはじめ、凸版印刷のこれからの環境対応型の容器包装開発に大いに期待しており、今後も両社の協働を推進して参りたいと考えております」と語っている。

凸版印刷は、同製品を化粧品・トイレタリー業界など、プラスチックボトルを使用する企業に向けて拡販し、2022年度に約10億円の売上を目指すとしている。

※1 TOPPAN S-VALUE™ Packaging:TOPPAN S-VALUE™ Packagingにおいて同社は、「スマートライフ バリュー パッケージ™」、「ソーシャル バリュー パッケージ™」、「サステナブル バリュー パッケージ™」を提供している。

  • 「ひと」/「スマートライフ バリュー パッケージ™」:円滑な購入や効率的な保管、おいしく仕上がる調理、簡便な廃棄、安全・安心な取り扱いなど、生活のさまざまな場面に最適な価値を提供し、コミュニケーション媒体として顧客体験を最大化させるソリューションを展開
  • 「しゃかい」/「ソーシャル バリュー パッケージ™」:サプライチェーンにおいて発生する業務効率化・生産性向上・販売の最適化などのさまざまな課題を解決し、継続的な企業活動を実現する価値ある容器包装やサービスを展開
  • 「ちきゅう」/「サステナブル バリュー パッケージ™」:再生プラスチックを用いた包装材、単一素材でリサイクル適性を向上した包装材、植物由来材料の紙やバイオマスプラスチックを用いた包装材など、環境負荷の低減と循環型社会の実現につながるソリューションを展開

※2 GL FILM:同社が独自開発した透明バリアフィルム。独自の蒸着加工技術による世界最高水準のバリア性能と用途に応じた豊富な品ぞろえによって、国内だけでなく欧州を中心に北米・東南アジアなど海外市場でも高い評価を得ていると同社はみている。2018年12月時点で、透明蒸着バリアフィルム市場のトップブランドの一つとして、約45の国と地域、約15,000点の商品に採用されていると同社は発表している

【プレスリリース】凸版印刷、業界初 浴室でも使える紙パックの本格生産を開始

*冒頭の画像は「キューブパック™」のサンプル。出典:凸版印刷株式会社