米食品・飲料大手のペプシコはこのほど、2030年までに温室効果ガス排出量を40%以上削減し(2015年比)、2040年までにネットゼロエミッションを達成するという新たな気候目標を発表した。
2030年に向けた温室効果ガス排出量削減目標は、同社がこれまで掲げていた気候目標の2倍以上となる。同目標により、自動車500万台以上の1年間の排出量に相当する温室効果ガス2,600万トン以上の削減が見込めるとしている。同社のような大企業は、生産サイクルの全段階で温室効果ガス排出を削減および除去する機会があると同社は考える。そこで、パリ協定の目標より10年早い2040年までに、ネットゼロエミッションを達成するという目標を掲げた。
同社の戦略は、農業をはじめ、環境に最も影響を与える機会を対象とする。米イリノイ州では農家はすでに同社と協働し、被覆作物を使用して土壌改良し、肥料の需要を抑えている。これにより、温室効果ガス排出量が削減され、土壌中のCO2が回収される。また、メキシコ・アルゼンチン・ブラジル・インド・ベトナムにある同社の実証実験用農場のネットワークを利用した持続可能性プログラムでは、CO2排出量を削減しながらジャガイモの収穫量を増加させた。このようなプログラムに基づく取り組みには、収穫量の増加・土壌改良・森林破壊の減少・農家の生産性向上などの利点があると同社はみている。
容器包装・生産現場・配送車両までを対象とする同社の取り組みの重点分野には、バージンプラスチック削減や容器包装に再生プラスチックを使用するための新たな方法の開発などがある。また、倉庫・輸送・流通施設において電気と天然ガスを利用して、温室効果ガス排出量を実質ゼロおよびほぼゼロにする技術を推進している。これは、米カリフォルニア州モデストにある同社の菓子部門フリトレー・ノース・アメリカで使用されている電気自動車と、太陽光発電で稼働する建物をモデルにした取り組みだ。
さらに、同社の世界拠点で以下のような重要な取り組みを実施しており、2021年末までに同社の直営拠点の15カ国で再生可能エネルギー比率100%で電力調達する予定だ。これは、同社の世界全拠点の電力需要における60%以上を再生可能エネルギーで賄えるようになることを意味する。
- 2020年、同社は米国の事業において再生可能エネルギー比率100%の電力調達という目標を達成した
- 蘭ロッテルダムにあるクエーカー製造工場では、400枚以上のソーラーパネルを使用して電力供給している
- ベルギーのゼーブルッヘにあるトロピカーナ製造工場に設置した一基の風車は、同工場の総消費電力の約40%を供給する
- 米テキサス州とネブラスカ州の風力発電プロジェクトは2021年に着工する
同社の会長兼最高経営責任者(CEO)であるラモン・ラグアルタ氏は、「気候変動は深刻化しており、緊急にシステム変更を加速させなくてはなりません。取り組みが遅れたことによる悲惨な結果を考えると、当社の予定を早めることは非常に重要であり、迅速かつ積極的な行動を取るしかありません。気候変動対策は、世界の食品および飲料業界を牽引する当社の中核事業です。そして、地球と人々に良い結果をもたらすために、当社は積極的な取り組みを推進します」と述べている。
同社の最高サステナビリティ責任者であるジム・アンドリュー氏は、「企業は、環境負荷を最小限に抑えるだけでなく、それを超えた取り組みを長い間実施できていません。地球環境を改善して再生するために、積極的に取り組む必要があります」と語っている。
【プレスリリース】PEPSICO ANNOUNCES BOLD NEW CLIMATE AMBITION
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