経済産業省 中国経済産業局は2026年3月26日、「プラスチックリサイクルに取り組みたい人のための事例集」を公表した。サーキュラーエコノミーへの関心が高まる中、石油由来資源であるプラスチックの循環利用を促進し、関連技術を持つ企業の新たな事業機会につなげる狙いがある。

今回の事例集は、特許技術の動向分析と中国地方の企業へのヒアリングをもとに取りまとめられたもので、リサイクル事業の立ち上げや拡大に向けた実務的なヒントを提供する。技術トレンドだけでなく、「なぜ今プラスチックリサイクルなのか」「どの工程にビジネス機会があるのか」といった初期検討の視点も整理されている。

内容面ではまず、回収・分別・洗浄・再加工・再製品化といったリサイクル工程ごとに技術構造を分解し、どの領域で特許出願が多いかを整理している。分離技術および再生加工技術のいずれにおいても継続的に出願が見られ、特に材料の重さの違いを利用した比重差分離や、異なる樹脂同士を選別する高分子分離に関する出願が多い傾向にある。さらに、特定の樹脂のみを溶かして分離する溶解技術など、化学的要素を取り入れた手法の出願も近年増加しているほか、光や画像を用いて色や材質を識別する技術も確認される。

また、用途別では自動車分野での技術開発が進んでおり、ELV由来プラスチックの再利用に関する特許が増加している。これは欧州の規制強化などを背景に、再生材利用の高度化が求められていることを反映した動きとされる。

世界・日本の市場動向についても触れられており、資源循環関連市場は拡大が見込まれる成長分野と位置づけられる。リサイクルは単なる環境対応ではなく、産業競争力や資源安全保障にも関わるテーマとして重要性が高まっている。

さらに、地域企業の具体事例として4社の取り組みを紹介している。例えば、

  • 樹脂の特性に応じた分別・再生技術を強みに、用途ごとの再資源化を実現する企業
  • 省スペース・省エネ型のリサイクル設備を開発し、効率化とコスト低減を図る企業
  • リサイクルプラントを一括提供し、顧客のニーズに応じたシステム構築を行う企業
  • 廃プラスチックの油化技術を社会実装し、燃料などへの再資源化を進める企業

など、多様なビジネスモデルが提示されている。

同局は、本事例集の活用を通じて特許の出願・活用を促進し、地域企業の新規参入や事業拡大を後押しすることで、中国地方におけるリサイクル産業の発展につなげたい考えだ。

本事例集の監修を務めたディスプロ株式会社の桑原良弘氏によると、企業間連携や地域内循環モデルの可能性に加え、各社の事業・技術・知財を持ち寄る協調領域のあり方や、再生素材の規格づくりと知財活用が重要な視点になるとしている。

プラスチックリサイクルをめぐっては、技術開発だけでなく、企業間連携や再生素材の活用に向けた取り組みが重要となっており、本事例集はそうした検討を進める上での参考となりそうだ。

【プレスリリース】「プラスチックリサイクルに取り組みたい人のための事例集」を公表します
【参照レポート】プラスチックリサイクルに取り組みたい人のための事例集
【関連記事】経済産業省 産業構造審議会、CEコマースの促進に向けた制度整備に着手。家電・衣料品・オフィス家具などを対象に
【関連記事】経済産業省、サーキュラーエコノミーWebサイト公開 消費者行動変容を促進