双日株式会社・花王株式会社・Enevo Japan株式会社・凸版印刷株式会社・レコテック株式会社はこのほど、神奈川県川崎市内のマンションで、家庭から出る使用済みプラスチック容器の効率的な回収および水平リサイクルの実現に向けた検証プロジェクト「POOL PROJECT KAWASAKI」を開始した。

4月1日、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行される。同法では、「製造・販売事業者などによる自主回収および再資源化」として、「自ら製造・販売したプラスチック使用製品が使用済みとなったものについて、製造事業者などの自主回収・再資源化事業計画を国が認定する」と定められている。

これにより、プラスチック製容器包装などの製造事業者による家庭から出る使用済みプラスチック容器の分別回収・リサイクルの加速が期待されると双日株式会社は考える。一方、家庭から出るプラスチック容器の分別回収・リサイクルには、以下の課題が残されているとしている。

  • 分別回収・リサイクルにかかるコストが大きい
  • 回収率を上げることが難しく、十分な量を回収できない

今後、分別回収・リサイクルの加速には、持続可能なコストで、再製品化に十分な量を安定的に分別回収・リサイクルできる仕組みの構築が急務であると双日株式会社はみている。同プロジェクトは、こうした仕組みの構築と家庭から出るプラスチック容器の再製品化を通して、高度な資源循環を実現させることを目的とし、次の項目を検証する。

  • 排出元に近い場所における回収による効果検証:家庭から出るプラスチック容器の排出元であるマンションに3タイプ(つめかえパック、菓子・野菜などの包装材、ボトル容器)の回収箱を設置し、回収率および回収状況を監視する
  • 回収品目ごとの水平リサイクルの実現性:つめかえパックは花王株式会社、菓子・野菜などの包装材は凸版印刷株式会社、ボトル容器は双日株式会社が水平リサイクルを検証して、水平リサイクル実現に向けた課題を抽出し解決策を検討する
  • IoTデバイスや宅配物流などの活用による収集運搬の効率化:レコテック株式会社の資源循環プラットフォーム「POOL」とEnevo Japan株式会社のセンサーデバイスを活用し、リアルタイムで回収箱の堆積量を可視化する。宅配物流などを活用した効率的な収集運搬の実現性についても検討する


実証場所は、メイフェアパークス溝の口(川崎市高津区)、双日武蔵小杉社宅(川崎市中原区)、双日百合ヶ丘社宅(川崎市麻生区)。

同プロジェクトの検証結果を踏まえて、2022年度以降に川崎市をはじめとする自治体と共に規模を拡大していく予定だ。多くの製造事業者などが参入できる分別回収プラットフォームを構築し、持続可能なコストで再製品化に十分な量を安定的に分別回収・リサイクルできる仕組みづくりを加速していくとしている。

【プレスリリース】双日、使用済みプラスチック容器の効率的な回収・リサイクルの実現に向け、川崎市内マンションにて検証プロジェクト『POOL PROJECT KAWASAKI』を開始
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*記事中の画像の出典:双日株式会社