ファッションと繊維業界の持続可能な取り組みを支援するNPOの米Textile Exchangeはこのほど、報告書「Regenerative Agriculture Landscape Analysis(リジェネラティブ農業の展望分析)」を刊行した。

同報告書は、リジェネラティブ農業における取り組みを企業が理解・実装・評価するための枠組みであり、人間と生態系を中核とする包括的アプローチを促進するとしている。同報告書の概要は、以下のとおり。

概要

  • リジェネラティブ農業への移行は、ファッションおよび繊維業界にとって重要である。同業界の長期的な健全性はレジリエントなシステムの開発における農民との協働によって決定され、リジェネラティブ農業の実践は大きな社会的・環境的利益を提供する
  • リジェネラティブ農業は、単一の説明または一連の慣行では定義できない。人間と生態系を中核に置く根本的で全体論的なシステムアプローチが必要だ
  • リジェネラティブ農業プロジェクトは、正義・公平・生計に基づかなくてはならない。先住民の支援者は先住民の将来の仕事を確保するべく、リジェネラティブ農業における先住民のルーツと過去・現在の人種的な不公正の承認を求めている
  • リジェネラティブ農業は、土壌の炭素貯留量を高める以上の効果がある。土壌学では長期的な土壌炭素隔離の機能が疑問視されているが、包括的なリジェネラティブシステムは、生物多様性・水の利用可能性と水質・気候のレジリエンス・生計においてのコベネフィットが報告されている
  • リジェネラティブ農業への移行加速には、サイロから抜け出す必要がある。リジェネラティブ農業推進のために、ファッションおよび繊維業界の企業は食品・飲料業界と情報共有を強化し、最新の政策立案・資金調達モデル・研究イニシアチブに影響を与えるよう努めるべきだ

加えて、企業に対して下記を呼びかけた。

  • 地球の境界内に留まりながら業界のレジリエンスを高められる包括的で信頼できるリジェネラティブ農業プロジェクトに投資する
  • 先住民や農民、および彼らが選んだ代表者を含む土地の直接管理者が、リジェネラティブ農業プロジェクトにおいて最初から積極的な意思決定の役割を担うことを保証する

同報告書作成にあたり、ファッションブランドのKering、J.Crew、Madewell、CottonConnectが資金提供した。ファッション・繊維業界の多くの企業が、同報告書が推奨する分野横断的な協働と包括的プロジェクトへの投資などを通して、リジェネラティブ農業移行への取り組みを加速させていくことが期待される。

【プレスリリース】A transition to regenerative agriculture is fundamental to the longterm health of the fashion and textile industry, states new report from Textile Exchange
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