ソニーグループはこのほど、2026年度から2030年度までの環境中期目標「Green Management 2030(GM2030)」を策定した。同目標では、スコープ1から3までの温室効果ガス総排出量を5年間で25%以上削減することや、非循環プラスチック利用率の低減など、資源の循環につながる活動を加速させることを目指す。
ソニーは、2050年度までに気候変動、資源、化学物質、生物多様性の4つの視点から環境負荷をゼロにすることを目指す長期環境計画「Road to Zero」に基づき環境活動を行っている。GM2030は、この「Road to Zero」実現に向けたマイルストーンとして策定された。
GM2030では、気候変動領域への対応が喫緊の課題であるとの認識に基づき、スコープ1から3を含むバリューチェーン全体でのネットゼロ達成目標を2040年度に前倒しした。これは、従来の2050年度目標から10年前倒しとなる。また、自社オペレーションでの再生可能エネルギー100%達成目標も2040年度から2030年度へ10年前倒ししている。
具体的な目標として、スコープ1と2の排出量を2025年度比で60%削減し、残りの排出量と同量の炭素を除去する。スコープ3の排出量については、2025年度比で25%削減を目指す。さらに、自社オペレーションで使用する電力を100%再生可能エネルギー電力にすること、および主要な原材料・部品サプライヤーに対し、ソニーグループ向け製品製造時の電力を100%再生可能エネルギー電力にするよう働きかける。
資源の循環を加速させる取り組みとして、製品重量あたりの非循環プラスチック(再生プラスチックおよび再生可能プラスチック以外のプラスチック)利用率を30%以下に設定した。また、特定機種の主要基板実装に用いるはんだで再生材比率100%のスズを、特定機種の主要基板などで再生材比率100%の金を使用する。製品の長寿命化や製品・部品の再利用など、資源の適正利用を推進する施策も実施する。
プラスチック汚染対策も強化し、製品包装中のプラスチック利用率を10%以下とする。製品重量5kg以下の製品のプラスチック包装を全廃し、ソニーグループの販売店で使用するプラスチック包装も全廃する方針だ。
ソニーは、全世界での事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指す国際的イニシアチブ「RE100」に加盟しており、2030年までに自社の事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指している。また、ソニーのネットゼロ目標は、気候変動による世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べ1.5度に抑えるという目標に向けて、科学的知見と整合した削減目標を企業が設定することを推進する国際イニシアチブ「Science Based Targets initiative(SBTi)」による認定も取得している。さらに、気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言にも賛同し、情報開示の拡充を進めている。
今後もソニーは、サプライチェーン全体での環境負荷低減活動や環境に配慮した製品・サービスの創出を通じて、GM2030の目標達成と2050年度までの「環境負荷ゼロ」の実現を目指し、持続可能な社会と地球環境の実現に向けて事業活動を推進していく。
【プレスリリース】環境中期目標「Green Management(グリーンマネジメント)2030」を策定
【参照記事】Green Management 2030
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