Spiber株式会社は6月27日、同社が研究開発を進めるプロジェクト「バイオスフィア・サーキュレーション(生物圏循環)システム」に株式会社ゴールドウインと英PANGAIAが参画したと発表した。ゴールドウインはSpiberと共同で、同プロジェクトにおけるデモ製品を製作した。

プロジェクトにおいて、Spiberは衣料や農業で生じる廃棄物を微生物発酵で原料に転換し、新たなタンパク質「Brewed Protein™(ブリュード・プロテイン™)」の素材として使用している。生物由来および生分解性を有する繊維、サトウキビのバガスやトウモロコシの茎葉などの農業廃棄物をはじめ、これまで廃棄物として処理されてきたものを最大限活用。技術確立・製品設計ガイドライン作成・インフラ構築などに取り組んでいる。

今回、ゴールドウインとPANGAIAがSpiberのビジョンに賛同し、プロジェクトへの参画を決定した。アパレル業界の循環型移行に向け、同システムの研究開発と業界全体における導入の促進を目指す。ゴールドウインとPANGAIAは、製品設計ガイドラインの開発においてSpiberを支援する計画だ。

Spiberとゴールドウインが共同製作したデモ製品は、オーガニックコットン90%、Brewed Protein™繊維10%で構成される。通常ポリエステルが使用されるタグにはオーガニックコットン、縫製糸にはセルロース由来の糸を使用。製品の透明性を確保するべく、使用した原材料・素材・加工材料・サプライチェーンなどの情報を掲載したウェブサイトを作成し、製品の袖口にQRコードを縫い付けた。デモ製品は、持続可能なソリューションを提供するアパレル素材見本市「Future Fabrics Expo」で展示される。見本市は、6月26日から28日までロンドンで開催される予定だ。

今後、SpiberはゴールドウインやPANGAIAなど参画企業と協働し、研究開発を推進していくとしている。業界全体での資源の有効活用と包括的な循環型モデルおよびインフラの確立を目指し、製品を推進していくとともに、ブランドおよび企業に参画を呼びかけていく意向だ。

Spiberが同プロジェクトの研究開発を進める背景は、繊維素材のリサイクル率の低さだ。世界では廃棄された洋服の約99%(日本では約95%)が焼却・埋め⽴て処分されており、アパレル業界は大きな環境負荷が指摘されている。

【プレスリリース】Spiberのバイオスフィア・サーキュレーション プロジェクトに ゴールドウインとPANGAIAが参画
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*冒頭の画像の出典:Spiber株式会社