欧州委員会は2022年3月31日、サーキュラーエコノミーアクションプランの要となる「持続可能な製品イニシアチブ」(SPI)を公表した。本記事では、同イニシアチブの概要に加え、それがサーキュラーエコノミーにおいて意味することや産業界の反応、実装にあたっての課題、日本を含めた域外への影響などを連載で考察する。まず連載①においてはSPIの5つの目的について取り上げる。

持続可能な製品イニシアチブの概要

今回発表されたEU市場における持続可能な製品の標準化に関する一連のパッケージは、主に下記5つの施策で構成される。

  1. エコデザイン規則案(各業界でのエコデザイン要求事項、デジタル製品パスポートの導入、売れ残り品の廃棄防止、グリーン公共調達必須要件の設定、市場監視の強化、廃棄物抑止と削減など)。「指令」から、加盟国内の政府・企業・個人に適用できるより拘束力の強い「規則」に格上げ。
  2. エコデザインおよびエネルギーラベル作業計画 2022-2024
  3. サーキュラーファッション戦略
  4. 建設資材規制の改正案
  5. グリーンウォッシュを禁止するEU消費者法改正案

本連載では上記のうち、主に1と5に焦点を当てたい。

SPIが意味すること

現行のエコデザイン指令におけるエコデザイン対象製品はエネルギー関連製品(約30製品群)に限られていたが、今回のエコデザイン規則案ではほぼすべての物理的な製品が対象となる見込みだ(食品や医薬品などは対象外)。同法案成立の後、各分野の細則が決められるが、2022年末までに最初の対象製品群に対する作業計画のパブリックコメント期間に入る予定となっている。この第一弾に含まれる製品群の候補としては、環境負荷の高い繊維・家具・マットレス・タイヤ・洗剤・潤滑油・鉄・アルミなどが有力である。

同規則案により、欧州委は産業界に主に下記を促すとしている。

  • 耐久性・再利用性・アップグレード性・修理可能性の促進
  • 循環性を阻害する製品、環境負荷物質の規制
  • 製品のエネルギー・資源効率化、再生材含有率最低基準の設定
  • 易解体性、易リマニュファクチャリング性、易リサイクル性の促進
  • カーボンフットプリント・環境フットプリントを含むライフサイクル評価、廃棄物抑止・削減

パッケージの目玉の一つは、製品のサステナビリティや循環性の情報提供に関する要求事項である「デジタル製品パスポート」の導入が求められることだ。エネルギー利用・再生材含有率・環境負荷物質(SOC)、修理可能性や耐久性など、製品のサステナビリティ・循環性に関する情報がこのデジタル製品パスポートを通じて提供される。デジタル製品パスポートについては次回連載②で触れたい。

SPIは何を意味するのか。端的に言えば、それは「『持続可能な製品とは何か』を定義づける」ことであり、EU域内で持続可能な製品市場を創出する目的がある。持続可能な事業活動を規定する規則であるEUタクソノミーは主に投資面からの施策であることに対して、エコデザイン指令改正は製品面・ビジネスモデル面からの政策と位置づけられる。

5つの主な目的

以下は、パッケージの主な5つの目的である。産業界の意見も参考にしながら見ていこう。

1. EUグリーンディールにおける2050年カーボンニュートラル目標に向けた施策

まず、EUグリーンディールにおける2050年カーボンニュートラル目標への貢献がこの政策の「大義」として挙げられる。同案にもこの点が明記されており、原料採掘と加工や製造は温室効果ガス排出量の約半分を占めていることから、製品とビジネスモデルを転換する必要性が生じているとしている。

構図としては、EUグリーンディールの柱としてのサーキュラーエコノミーアクションプランがあり、さらに同アクションプランの要となる政策として位置づけられる。また、サーキュラーエコノミーアクションプランと同時期(2020年3月)に発表されたEU新産業戦略(2021年5月に更新)で示された「グリーンとデジタルへの『双子の』移行(ツイントランジション)」に基づいている。

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