サントリーグループは11月から、スコットランドで泥炭地と水源の保全活動「Peatland Water Sanctuary」を開始する。2030年までに400万ドル(約4億5,000万円)以上を投資し、1,300ヘクタール(東京都千代田区とほぼ同等)の泥炭地保全を目指すとともに、水源保全活動にも取り組む。2040年までには、同グループが使用する泥炭の2倍の量を生み出せる面積の泥炭地保全を目指すとしている。

「人と自然と響きあう」を使命に掲げる同グループは創業以来、持続可能な社会の実現を目指してきたとしている。なかでも水に関しては、自然環境の保全・再生活動など、さまざまな取り組みを世界的に推進している。日本では2003年に水源涵養活動「天然水の森」を開始し、全国15都府県21カ所約1万2,000ヘクタール(東京都世田谷区の約2倍)で森林の調査や整備・植樹などを実施している。海外においても、米国・インド・フランス・タイなどで水保全に関する活動を展開している。

スコッチウイスキーから学びを得てきた同グループは、スコットランドに複数の蒸溜所を保有。スコットランドでは湿原はウイスキーづくりに良い水を育むと言われており、湿原に堆積した泥炭はウイスキーの原料である麦芽を乾燥させる大切な原料となると同グループは認識している。近年、土地開発や過度な商業用採掘などにより、湿原が本来の姿を失いつつあり、持続可能なウイスキー生産には泥炭地保全に取り組む必要があると同グループは考える。同グループが実施を発表した湿原保全に向けた具体的な取り組みは以下のとおりだ。

  • 開発や採掘のために排水され乾燥化した泥炭地の水位を上げて、泥炭の堆積を促す
  • 泥炭湿原特有の植生を回復させ、泥炭地を保全する

(出典:サントリーグループ)

今回の取り組みは、水の品質と保水機能の向上・生物多様性保全に貢献するとともに、泥炭地は炭素を蓄えることからCO2排出抑制に寄与するとサントリーグループはみている。同グループは、スコットランド中部に位置するアードモア蒸溜所周辺地域約15ヘクタール(東京ドーム約3個分)を対象に、土地所有者であるスコットランド森林土地局と、研究・計画および再生工事の遂行を支援するジェームズ・ハットン研究所と共同で、泥炭地復元活動を開始し、その後他地域でも展開していく予定だ。同グループは泥炭地保全を通じてスコットランドの文化であるウイスキーづくりを守り、生物多様性や自然環境の保全につなげていくことで、企業としての社会的責任を果たしていく意向だ。

有限な資源を大切に使いながら文化を育み、自然資本を保存・増加させる同取り組みの展開が期待される。

【プレスリリース】スコットランドでの泥炭地および水源保全活動「Peatland Water Sanctuary」を開始
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