サントリー食品インターナショナル株式会社はこのほど、飲料ペットボトルに巻き付けるタイプのラベル(ロールラベル)用の剥がしやすい糊を開発し、導入を開始したと発表した。新規糊の開発にあたって同社は、糊(粘接着剤)の開発・製造を行っているトーヨーケム株式会社と協働した。

従来の糊はペットボトルに糊の半分以上が付着したままだったが、新規糊はペットボトルに糊がほぼ残らず、リサイクル工程においても効率化と品質向上が見込まれるとしている。ペットボトルとラベルの接着強度は従来の糊と同等であることも同社は明らかにした。同社は7月下旬より、新規糊をサントリー天然水 北アルプス信濃の森工場で製造している「サントリー天然水」から導入を開始しており、他工場の製品にも順次採用していく予定だ。

サントリーグループは、これまでReduce(使う量を減らす)・Recycle(再資源化して使う)・Bio(植物由来の資源を使う)の方針を掲げ、さまざまな取り組みを実施してきた。容器素材の軽量化・薄肉化・国産最軽量(※1)のペットボトルの導入・国産最薄(※1)の商品ラベルの実用化・飲料用PETプリフォーム製造における「FtoPダイレクトリサイクル技術(※2)」の導入などである。

Reduceという容器包材開発方針に基づき、ペットボトルのラベルもリサイクル素材を使用した薄肉化が可能なロールラベルに移行してきた。しかし、顧客からの「ラベルが剥がしにくく分別しづらい」「ペットボトルに糊が残って、他のものにくっついてしまう」という意見をもとに、今回の新規糊の開発に至ったとしている。

2019年5月、サントリーグループは「プラスチック基本方針」を策定し、2030年までに世界の全ペットボトルにリサイクル素材あるいは植物由来素材のみを使用し、化石由来原料の新規使用をゼロにすることを目標に定めた。サントリーグループは今後も、顧客にとっての使いやすさとサステナビリティを両立しながら、「ボトルtoボトル」水平リサイクルを推進していく意向だ。

清涼飲料業界の業界団体である一般社団法人全国清涼飲料連合会は2021年4月、清涼飲料業界として2030年までにボトルtoボトルの比率50%を目指すことを宣言した。ボトルtoボトル水平リサイクルは、同じ材料を資源循環させる理想のリサイクルだと全国清涼飲料連合会は考えている。現在、多くの組織がボトルtoボトルの取り組みを進めている。

※1:いずれも導入時点
※2 FtoPダイレクトリサイクル技術:ボトルtoボトルリサイクルを発展・効率化させた技術。回収したペットボトルを粉砕・洗浄したフレークを高温・真空下で一定時間処理し、溶融後にプリフォームを直接製造できる。プリフォームとは、PET樹脂から作られるペットボトルの原型のこと(サントリーホールディングス株式会社より)

【プレスリリース】剥がしやすく、ペットボトルに糊が残らないロールラベル用の糊を新規開発・導入開始
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*冒頭の画像の出典:サントリー食品インターナショナル株式会社