川崎市は7月1日、日本環境設計株式会社(以下、日本環境設計)・サミット株式会社(以下、サミット)・株式会社寺岡精工(以下、寺岡精工)と連携して、ボトルtoボトルの実証実験を実施することを発表した。

清涼飲料業界の業界団体である一般社団法人全国清涼飲料連合会は2021年4月、清涼飲料業界として2030年までにボトルtoボトルの比率50%を目指すことを宣言した。使用済みペットボトルを何度もペットボトルに循環させるボトルtoボトルは、資源循環を実現する理想のリサイクルだと全清飲は考えている。兵庫県の4自治体もボトルtoボトルの取り組みを産官民連携で開始しており、今後このリサイクル事業が加速することが予想される。

今回川崎市らが実施する実証実験の目的は、プラスチックごみ問題の解決、および資源の有効活用と低炭素型リサイクルを実現するべく、ボトルtoボトルの完全循環型リサイクルスキームを構築することだ。同実証実験は以下のように展開される。

  • 7月7日より半年間、市内のサミットストア3店舗(尻手駅前店・南加瀬店・中野島店)に寺岡精工のペットボトル減容回収機「ボトルスカッシュ(DRV-100T)」を設置し、消費者にペットボトル持参の協力を呼び掛ける
  • 回収したペットボトルは、日本環境設計のケミカルリサイクル技術「BRING Technology※」を用いて同社のグループ会社であるペットリファインテクノロジー株式会社(以下、ペットリファインテクノロジー)が新たなペットボトルにリサイクルする
  • リサイクルされたペットボトルを飲料メーカーが使用し、再び店頭に並べられることを目指す

今回のスキームを示した図(出典:川崎市、日本環境設計株式会社、サミット株式会社、株式会社寺岡精工)

日本環境設計とペットリファインテクノロジーは川崎市に本拠を置き、川崎市内のスーパーマーケットでペットボトルを回収することから、国内初の「地域内循環」の取り組みとなるとしている。リサイクルスキームの課題を見つけ、より環境負荷が低く、物流面・コスト面でも効率のよい運用を検討し、地域内循環のボトルtoボトルリサイクルによるサーキュラーエコノミー実現を目指す。

川崎市と3組織は、地域の消費者によるペットボトル回収への協力を通じて、環境保護や社会に配慮した消費形態の確立につなげていきたい考えだ。

※ BRING Technology:独自の化学技術により高純度なモノマーを回収し、石油由来と同等品質のペットボトルに再生する手法

【プレスリリース】地域内循環の”ボトルtoボトル”リサイクルを実現「完全循環型ペットボトルリサイクルスキーム」構築の実証実験を「産官民」連携でスタート 川崎市、日本環境設計、サミット、寺岡精工が連携
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