大日本印刷株式会社(以下、DNP)はこのほど、液体内容物に対応できるポリプロピレン(PP)の単一素材(モノマテリアル)のフィルムパッケージを開発した。

大手消費財メーカーの米Colgate-Palmolive Company(以下、コルゲート)はシャンプーとコンディショナー用の小袋に同フィルムパッケージを採用し、東南アジア市場で販売している。コルゲートは、2025年までに同社の全プラスチック容器包装をリサイクル・再利用・堆肥化可能にする目標を掲げている。

一般的にフィルム容器はバリア性・保存性・強度を保つために、PET・ポリエチレン・アルミなど複数素材で構成されており、リサイクルが難しい。この課題を解決するべく、リサイクルに適した単一素材のフィルムパッケージが現在注目されている。2021年2月には、二軸配向ポリエステルフィルムの価値促進を目指す業界団体BOPET Films Europeと社会的企業の蘭Searious Businessが、単一素材のモノマテリアル軟包材の使用促進を目標とする新しいイニシアチブ「Vita Nova Initiative」を発足させた。

DNPは多様な機能と高いリサイクル性を持つ食品・日用品用のモノマテリアル包材を2018年から開発・提供している。同フィルムパッケージは高いバリア性を有して香りも保持でき、既存の充填機で生産できて意匠性を実現することなどが高評価されたとしている。現在コルゲートが販売しているアルミ蒸着PETを使用したフィルムパッケージ小袋と同等の物性と外観で、モノマテリアル化を実現しているとDNPは認識している。

今回開発されたPPのモノマテリアル包材の特長について、DNPは以下のように発表した。

  • DNP独自のコンバーティング技術(※)を活かし、アルミ箔を使わなくても酸素や水蒸気に対する高いバリア性を実現している。PPのモノマテリアルでフィルムに複数の機能を付加して積層させることでリサイクル性を高めた
  • アルミ蒸着PETを使用しているフィルムパッケージと同等のメタリック調の輝きを実現する
  • 液体にも使用でき、シャンプーやコンディショナーなどの日用品のほか、食品・粉末飲料など多様な用途に使用できる
  • 軟包装業界における循環型経済を推進する欧州のコンソーシアム「Circular Economy for Flexible Packaging(CEFLEX)」のガイドラインに準拠して設計できる。ドイツのリサイクル認定業者Interseroh社によるリサイクル適性認証も受けており、「Made for Recycling」マークを取得している

今後もDNPは高度なコンバーティング技術を活かして、機能を高めた製品ラインアップを拡張するなど、プラスチック使用量削減やCO2排出量削減に向けて環境配慮型製品やサービスの開発を進め、国内外に展開していく構えだ。

DNPの製品・サービス開発に関する取り組み

DNPは独自の「P&I」(印刷と情報)の強みとパートナーの強みを掛け合わせて、社会課題解決と人々の期待に応える新しい価値の創出に取り組んでいる。2021年4月にはICカードの材料をリサイクルしたプラスチック材使用ICカードの製造を開始した。プラスチック問題の解決や循環型社会の実現、地球温暖化を抑制するソリューションの開発などに対しても取り組みを進めている。

※ コンバーティング技術:材料の形を変えたり複合したりする材料加工技術

【プレスリリース】液体にも対応したポリプロピレンのモノマテリアル包材を開発 コルゲート社が東南アジア市場に向けたシャンプー用小袋として採用
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*冒頭の画像はコルゲートで採用された商品(出典:大日本印刷株式会社)