株式会社竹中工務店は11月20日、2025年開催の大阪・関西万博の会場内「大地の広場」に設置する仮設建築「森になる建築」の3Dプリント構造体が完成したことを発表した。同建築は生分解性樹脂を構造材に用い、一体造形された世界最大の3Dプリント建築として、10月25日にギネス世界記録に認定されている。

「森になる建築」は、2020年から2021年に同社従業員を対象に実施された「竹中グループが提案する日本国際博覧会パビリオンに関するアイデア」コンペの最優秀案を基にしている。建築が種となり、使い終わったあとも廃棄物ではなく森を生み出すというコンセプトだ。最先端の3Dプリント技術と手作業の組み合わせにより完成される。

2023年5月に、竹中技術研究所にて大型3Dプリンターの試験を開始。2024年4月に実物サイズの出力試験に成功し、8月に3Dプリンターで構造体の建築が開始された。

今後は、伝統工芸の職人による和紙や、ワークショップでつくる植物の種をすきこんだ和紙「シーズペーパー」、福祉施設でつくられた和紙を組み合わせて構造体に貼るなど、外装工事や緑化工事が進められる。

今回のプロジェクトでは、エス.ラボ株式会社の3Dプリント機材や、ダイセルが提供する素材を活用。さらに、ニフコや阪神園芸など複数の専門企業が協力し、技術開発と植栽の実装を進めた。

2025年4月に完成予定。直径4.65m、高さ2.95mの2棟の建築物で、万博期間中に来場者の休憩スペースとして使用される予定だ。

【プレスリリース】大阪・関西万博会場内に提供する「森になる建築」の3Dプリントが完了
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(※画像の出典:株式会社竹中工務店)