豊田通商株式会社は4月1日、繊維・ファッション領域のサーキュラーエコノミー推進プロジェクト「PATCHWORKS™️(パッチワークス)」を開始する。

ファッション産業は高い環境負荷が指摘されている。日本では衣類のリユース・リペア・リサイクルの割合は約26%(2009年)で、残りは焼却・埋立処分されている。ファッション産業のサーキュラーエコノミーシステム実現には、商社が従来関わってきた調達・生産・販売活動を展開するフォワードサプライチェーン(FSC)に加え、再資源化するリバースサプライチェーン(RSC)にも積極的に携わっていく必要があると同社は考える。

同社はこれまで、使用済み衣料品の回収・選別・リユース・リサイクルを実施するナカノ株式会社と提携し、パタゴニア・インターナショナル・インク日本支社とのTシャツリサイクル事業「Tee-Cycle™️」を開始するなど、RSCモデル構築に取り組んできた。

同プロジェクトでは、豊田通商株式会社が国内外のすべての関係者と連携し、RSC上の事業者とFSC上のアパレルメーカー・小売業・消費者などをつなぎ、サーキュラーエコノミーシステム構築を推進する。

「PATCHWORKS™️(パッチワークス)」が目指すサーキュラーエコノミーシステムの構想図

まず、ポリエステル・コットン・ナイロンなどの衣料品に使用される主要な繊維に関して、ナカノ株式会社をはじめ、さまざまな関係者と連携し、使用済み衣料品などを回収・再資源化する繊維の水平リサイクルのRSC確立を目指す。FSCにおいては、リサイクルしやすい繊維素材や製品の開発をパートナー企業と推進する。

中長期的には、RSCから生まれる再生繊維の新素材開発・販売事業の拡大と、RSC領域(回収・選別・再資源化)への事業参入やサーキュラーエコノミーシステム実現に貢献する新たな事業・サービスの開発も計画している。

豊田通商株式会社は、「廃棄物を資源化することで、モノづくりを支え、循環型社会に貢献」をマテリアリティの一つに掲げている。同プロジェクトを通じて豊田通商株式会社は、「2050年までに、廃棄されるすべての衣料品が、再び衣料品として生まれ変わる機会と未来を創ること」を目標に、使用済み衣料品などのサーキュラーエコノミーシステム構築の実現に取り組んでいく意向だ。

繊維の水平リサイクルについて、欧州23カ国以上のリサイクル産業の連合である欧州リサイクル産業連盟(EuRIC)は、「繊維の水平リサイクルに向けたイノベーションが、繊維循環の鍵になる」との調査結果を発表している。加えて、リサイクルの必要性が生じる前に衣服の寿命を延ばすエコデザイン基準や、高・中・低品質の繊維を細かく分別する規則が重要だとしている。豊田通商株式会社が持つ幅広いネットワークをもとにさまざまな企業が同プロジェクトで協働し、ファッション産業のサーキュラーエコノミー移行に貢献していくことが期待される。

【プレスリリース】繊維・ファッション領域のサーキュラーエコノミー推進プロジェクト「PATCHWORKS™」本格始動〜廃棄される全ての衣料品の繊維to繊維リサイクル実現を目指す〜
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*記事中の画像の出典:豊田通商株式会社