革製品製造販売の株式会社土屋鞄製造所(以下、土屋鞄)は10月1日、使われなくなった同社の革製鞄を無料で引き取り、修理・再販売するリユース事業を開始すると発表した。

環境に対する消費者の意識が高まり、アパレル業界ではさまざまな取り組みが現在進められている。土屋鞄は、リユース・再製造・修理を柱とする環境に配慮した新プロジェクトを立ち上げる予定で、同事業はその第一弾の取り組みとなるとしている。使われなくなった製品を職人が丁寧に修理し、良い状態で次の所有者に渡せることが同事業の利点で、時間の経過によって皮の風合いがすべて異なるのも特長であるとしている。

同事業の概要は、以下である。

開始日・実施期間

試験期間:2021年10月1日から1カ月間実施
通年サービスとしての本格稼働:2022年3月頃

対象製品

土屋鞄製の鞄。今後、財布・鍵入れなど対象製品を拡大していく予定(※内装の汚れがひどい場合や革部分に破れがある物などは、引き取り拒否の可能性あり)

引き取り方法

配送:土屋鞄オンラインストアで受け付け(送料は同社負担)
国内17店舗(西新井本店・丸の内店・渋谷店・六本木店・日本橋店・自由が丘店・横浜店・鎌倉店・名古屋店・軽井澤工房店・梅田店・神戸店・京都店・福岡店・仙台店・南町田店・広島店)

修理

同社職人が西新井本店にて実施

販売

  • 価格は定価の6割程度
  • 11月19日から同社店舗(童具店・東京都中目黒)で1カ月間販売予定(なくなり次第終了)
  • 引き取りサービス本稼働後は、同社実店舗に加えオンラインストアでの販売も検討中
  • 同社製品であることと再生箇所や方法を記録した認定書を発行
  • 販売後は、新品と同様に修理サービスにも対応

提供者にクーポンを贈呈

  • 提供者には1回の引き取りにつき、同社で利用できる20%の割引クーポンを贈呈(割引上限は5万円)
  • クーポンの有効期限は2022年3月31日(仙台店・南町田店・広島店の3店舗は2022年2月14日)

今後は引き取った製品を新たな鞄・小物・雑貨などに再製造して販売する「アップサイクル事業」「店頭での修理サービス」を検討しており、製品を長寿命化させる環境を整えていく意向だ。

「時を超えて愛される価値をつくる」を企業理念に掲げる土屋鞄は、循環性向上に向け5Rの実現を目指している。5Rとは、Recycle・Repair・Reduce・Reuse・Refuse(拒否)である。Refuseは「予約発注および過剰生産しないこと」に該当する。記者発表会においては、「職人の雇用の創出」も強調された。土屋鞄は新プロジェクトに関わる専門職人を採用・育成し、2026年までに年間売上高5億円を目指すとしている。熟練職人の技術を活かした付加価値の創造により、新たな顧客と収益の創造を目指す同事業の今後の展開が期待される。

【参照サイト】株式会社土屋鞄製造所

*記事中の画像の出典:土屋鞄製造所