国連開発計画(UNDP)と国連環境計画(UNEP)はこのほど、気候変動の緩和を目的に、循環型経済を実現するための手引書を発表した。

同手引書には、パリ協定の目標を達成するための技術的資源や分析方法などが記載されている。手引書の内容を実践することで、各国経済の資源効率と循環性を向上させるという。また、気候変動緩和に関わる主要省庁や他関係者などをさらに巻き込んで、SDGs(持続可能な開発目標)で定められた持続可能な生産・消費パターンへの移行を実現することを目指す。

パリ協定の「自国が決定する貢献案(Nationally Determined Contributions: NDCs)」と資源効率をどのように統合させるかが議論された後、アヒム・スタイナーUNDP総裁とインガー・アンダーセンUNEP事務局長の委任に基づき共同活動が示された。

低炭素社会を実現するための包括的な協働アプローチ

2050年までに炭素中立(カーボンニュートラル)を実現するために、多種多様なステークホルダーが協働し、社会や経済に対し大きな変化を及ぼす政策を実現させる必要がある。

また、経済・社会・環境目標の統合のみならず、全てのステークホルダーの温室効果ガス排出削減量の潜在性を高めるため、経済をより循環型に移行させることが重要だとしている。

循環型経済への移行を通じた温室効果ガス排出削減

すべての国にとって、下記の業界が経済発展の鍵になると同時に、これらの業界の資源効率性の向上や循環型サプライチェーンの構築が気候変動の緩和に大きな影響を与える。

  • 建築業界
  • プラスチック・繊維・電子機器などの産業部門のバリューチェーン
  • 観光業界
  • 農業・食品産業
  • 循環型都市

協働を拡大させるために

低炭素社会を実現するにあたって、国際開発に携わる関係者間で協働がなされる必要がある。そのため、UNDPとUNEPが協働で発展途上国のNDCsを引き上げるための支援を行う。また、以下の循環型経済への移行支援を実施するために、両機関の戦略的パートナーシップを強化する。

  1. 循環型経済を実現するための政策立案支援
  2. 民間企業を巻き込む革新的な循環型ビジネスモデルの設計支援
  3. 各国の気候目標を引き上げる目的で、革新的ソリューションを大規模化させるための融資支援

両機関は、NDCsを引き上げて資源効率に取り組む国々と協働で、これらの取り組みをさらに発展させていく構えだ。

【参照記事】UNDP and UNEP publish joint guidance note on circular economy for climate change mitigation
【参照レポート】A 1.5°C WORLD REQUIRES A CIRCULAR AND LOW CARBON ECONOMY