VUILD株式会社はこのほど、木材のクラウドプレカットサービス「EMARF」において、全国150カ所以上のShopBot(※)オーナーと全国の林業従事者を対象にα版サービス運用を開始した。
α版サービス運用は、同社の新たなデジタルプラットフォーム「EMARF scan」の開始に先がけて実施される。
EMARF scanの目的は、一般的な市場で流通が困難な木材の廃棄回避と活用促進だ。木材の生産・加工工程で生じる非規格材や不揃いな端材を対象事業者がスマートフォンで撮影すると、木材は即時にデータ化され、EMARF上で一元管理・販売できる。木材の登録においては、木材の大きさ・材種・等級・乾燥状態・保管場所などの詳細情報の指定が可能。登録された木材データは、あらゆるデザインソフトに対応するファイル形式「DXF」で書き出せるため、購入者は設計工程でデータを直接使用できる。
EMARFのサービスの特長について、VUILD株式会社は以下を発表した。
- 木材の流通工程の短縮・効率化:生産者は購入者と直接つながり、取引できる。木材消費者は自ら材木を選び、取引できる
- 木材の低価格化:生産者が購入者と直接つながることで、材木の低価格化を実現する。さまざまな理由で廃棄されていた高品質の木材を流通させることで、低価格で取引できる
- 設計の幅の拡張:複雑な形状・大きさの木材も即時データ化し設計工程に取り入れられるため、消費者は希少性の高い製品を製造できる
- 地域貢献:EMARF scanで流通する木材は地域とのつながりが強いため、地域に貢献できる
- 循環型社会の実現:廃棄される木材量を減らし、循環型社会に貢献する
VUILD株式会社はα版の運用をもとに、EMARF scanに登録された材木を一般ユーザーがEMARF上で閲覧・選択・活用できることを目指し、EMARF scanのサービス開発を進めていく予定だ。
山元に利益が残りづらい木材の流通構造を変えたいという想いを起点に出発した同サービス。国産材活用促進を貢献するものとなるか、注目される。
※ ShopBot:VUILD株式会社が導入を進めている3D木材加工機(NCルーター)
【プレスリリース】スマホで撮影した木材を即時データ化!木材流通に革命を起こす「EMARF scan」α版がリリース
【関連記事】ウッドショック禍でチャンスを掴めるか。国産材への非住宅分野での期待
【関連記事】北海道下川町の循環型まちづくり。サーキュラーシティに向けたヒントとは?
【関連記事】持続可能な木材が建設資材に適する5つの理由。世界経済フォーラム・リードによる考察
【関連記事】Circle Economyを含む10組織、建設業界の木材利用に関するレポートを発表。2030年に向けたシナリオを提示
【関連記事】オカムラ、森林整備で発生する「未利用材」をオフィス用家具に利用。学校用家具も展開へ
*記事中の画像の出典:VUILD株式会社