公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(以下 WWFジャパン)とテラサイクルジャパン合同会社は、使い終わった漁網の回収・リサイクルを促進するための基本合意を締結したと発表した。海洋生態系に深刻な被害をもたらす漁具の海洋への流出を防ぐため、今後 両者は地域の漁業協同組合や自治体などと連携して使われなくなった漁網を回収、管理しながら、廃棄漁網を資源として再度活用できるよう取り組むとしている。
漁網をペレット化して再製品化
日本国内では、年間約5000トンにも及ぶ廃棄漁網が発生しているとされる。WWFジャパンとテラサイクルは、地域の漁業協同組合や自治体などと連携し、使われなくなった漁網を回収。回収した漁網は一度再生ペレットに戻した後、スポンサー企業の協力を得て再度製品化する。リサイクルされた製品の売り上げの一部は、 WWFジャパンに寄付される。
両者は、回収・リサイクルといった資源循環の仕組みだけではなく、漁具の適正な管理体制を構築も行う予定。
太平洋ごみの46%が漁具
今回の合意に至った背景として、海洋プラスチックごみの削減に向けた国際的な関心の高まりや対策強化の方向性がある。
太平洋は世界最大規模の漂流ごみのたまり場としても知られ、漂流ごみの総重量の 46%が漁具という調査結果も明らかになっている。漁具は主にプラスチックで作られており、一旦海洋に流出すると長期間にわたって存在し続け、海洋生物に深刻な悪影響を与えることから、流出漁具は「ゴーストギア(幽霊漁具)」とも呼ばれる。
日本でも環境省が策定したプラスチック資源循環戦略の重点戦略に「漁具等の陸域回収徹底」が盛り込まれ、水産庁も漁具の適切な管理やリサイクル技術の普及の必要性を挙げている。WWFジャパンも、他のNGO とともに、日本政府に対して漁具の流出防止や流出した際の被害軽減、回収・再生利用の体制の確立を求めてきた。
WWF ジャパンとテラサイクルは現在、この活動に賛同・協力できるスポンサーを募集している。問い合わせはテラサイクルジャパン合同会社( bd.jp@terracycle.com)へ。
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