凸版印刷株式会社は、住友重機械エンバイロメント株式会社とトータルケア・システム株式会社と共同で「完結型マテリアルリサイクルシステム」の事業に向けて検討している。このほど、同システムと白井グループ株式会社が持つAI配車システムを合わせた実証実験が、東京都共同事業「家庭用紙おむつの効果的回収と完結型リサイクル事業」に採択された。
同事業の概要は、下記のとおり。
- 実施期間:2021年11月に紙おむつの回収を開始し、2022年3月にリサイクル処理後の再生パルプとプラスチック材料を再利用する
- 実施概要:八王子市と町田市において一般家庭から排出される使用済み紙おむつを分別回収し、紙おむつに使用されているパルプとプラスチックを再生原料にリサイクルする「完結型マテリアルリサイクルシステム」の事業性を検証する。リサイクル処理後の再生パルプは建築資材の原料(外壁材・内装材など)として有効利用し、プラスチック材料は紙おむつの回収袋や回収箱として再利用する
- 主な検証事項:AIを使用した分別回収ルート検証、広域回収した場合の試算、紙おむつをリサイクルする際に発生する排水処理
同事業における4社の役割は、以下である。
- 凸版印刷株式会社:実証実験の主体事業者・全体の総括、再生資源を最適にアップサイクルするための工程管理、用途開発、販売
- 住友重機械エンバイロメント株式会社:水溶化処理設備のプラント設計および施工
- トータルケア・システム株式会社:使用済み紙おむつのリサイクル技術・知見提供
- 白井グループ株式会社:AIを活用した経済的回収システムの構築
(出典:凸版印刷株式会社)
高齢化社会の進展に伴い、紙おむつの使用量は年々増加しており、廃棄処理に大きな負担となっている。そこで、東京都は「使用済み紙おむつのリサイクル推進に向けた実証事業」を公募し、凸版印刷株式会社を含む4社の同事業のほかに、ユニ・チャーム株式会社と小田急電鉄株式会社の「使用済み紙おむつのリサイクル推進に向けた実証事業」も採択した。紙おむつのリサイクルと効率的な回収システム構築を目指すこれらの実証結果報告に期待したい。
【プレスリリース】凸版印刷、東京都において使用済み紙おむつリサイクル事業の実証実験を開始
【参照サイト】使用済み紙おむつのリサイクル推進に向けた実証事業の採択について
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クリューガー量子
クリューガー量子(くりゅーがー りょうこ)ドイツ在住、ハイデルベルク市公認ガイド。土木工学を学び日本で土木技術者として働いた後、メキシコでスペイン語を習得、日西通訳として自動車関連企業で働く。2003年に渡独。専門分野:ドイツのサーキュラーエコノミー関連政策・企業動向、企業現地視察サポート、建設業界のサーキュラーエコノミー移行。個人ブログ:http://ameblo.jp/germanylife10/ 。(この人が書いた記事の一覧)