ユニ・チャーム株式会社(以下、ユニ・チャーム)と小田急電鉄株式会社(以下、小田急電鉄)は、東京都が公募する「家庭から排出される使用済み紙おむつ」の効率的な回収、収集・運搬、再生利用処理などの手法において、東京都町田市一般家庭約2,500世帯を対象に実証する事業者に採択された。両社は、東京都との三者協定締結日(11月上旬予定)から2022年3月8日まで、使用済み紙おむつの効率的な水平リサイクル実現に向けた実証事業を実施する。

高齢化社会の進展に伴い、紙おむつの使用量は年々増加しており、廃棄処理に大きな負担となっている。同実証が実施される町田市の特定地区では現在、使用済み紙おむつを専用袋で分別し可燃ごみとして処理している。同実証では、小田急電鉄が専用袋に入れられた紙おむつを効率的に分別収集し、ユニ・チャームが収集内容を確認してリサイクルする。分別収集システムでは、2021年9月に小田急電鉄が開始したごみ管理事業「WOOMS」の「収集・排出サポートシステム」機能を応用する。


実証実験イメージ(出典:ユニ・チャーム株式会社)

これまでも、ユニ・チャームは紙おむつの再資源化に向けて以下のような取り組みを実施してきた。2015年、使用済み紙おむつを再資源化するプロジェクトを開始し、2016年12月から4カ月間、鹿児島県志布志市や大崎町とともに実証実験を実施した。実証実験を通じて、パルプなどを衛生物品に利用可能なレベルまで再生する技術を確立したことを発表している。2020年には、都内自治体と共同で高齢者施設や保育園などで、使用済み紙おむつの分別回収の実証実験を実施した。ユニ・チャームは、2030年までに紙おむつリサイクル設備を国内で10件以上導入する目標を掲げている。

両社は実証事業を通じて東京都における各自治体・企業・団体と共に、使用済み紙おむつリサイクル事業を国内および海外で展開できる循環型モデルを構築し、新たな課題を明確にして対策を実施していく意向だ。これまでの知見や技術をもとにした両社と町田市の協働による同実証の結果報告が待たれる。

【プレスリリース】
東京都公募「使用済み紙おむつのリサイクル推進に向けた実証事業」に小田急電鉄との共同事業が採択(ユニ・チャーム)
東京都公募「使用済み紙おむつリサイクル事業」にユニ・チャームとの共同事業が採択「WOOMS」の廃棄物収集ノウハウを活用した実証収集スタート(小田急電鉄)
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*冒頭の画像の出典:小田急電鉄株式会社