神奈川県座間市・東急株式会社・小田急電鉄株式会社は10月23日、リユースプロジェクトを開始した。座間市内全域で市民間のリユース(無償譲渡)を促進する。

「地域内でリユース品の循環を目指し、自治体が粗大ごみ回収スキームを活用して、リユース品の回収と譲渡先に配達する」モデルを取り入れた全国初(※)の施策となる。

同プロジェクトは、環境省の「使用済製品等のリユースに関する自治体モデル実証事業」に採択された。実証事業の要件は、「新規性と先進性があり、調査・検討のみでなく実効性を有する取り組みであること」だった。

2019年、座間市は小田急電鉄と「サーキュラー・エコノミー推進に係る連携と協力に関する協定」を締結。家庭でのコンポストの回収・コンポストの地域循環剪定枝のバイオマス発電用チップへの活用、小学校環境教育授業への参加など、廃棄物収集・運搬の工夫による資源化や、市内での啓発活動などで協働している。こうした取り組みを進めるなか、課題も生じている。その一つは、市独自で進めるリユースの取り組みとしてフリーマーケットなどを開催してきたが、リユース品を一括回収・出品する過程で一部を廃棄していることだ。

同プロジェクトは廃棄物削減を目指し、東急の地域共助プラットフォームアプリ「common(コモン)」と市内4カ所の駅付近に設置するナンバー錠付きロッカー「commonスポット」を活用する。受け渡し方法は「手渡し」と「commonスポット」の無料での利用だ。「手渡し」では、リユース品を玄関先などに出すと、市の粗大ごみ収集・運搬を担う座間市リサイクル協同組合が回収する。加えて、貰い手の玄関先などに届ける無料サービスも提供することで、利用者増加を目指す。

実証におけるリユース件数目標は300件で、環境配慮や愛着・思い入れを引き継ぐ機運を市内で醸成していきたい考えだ。同市は今後も、連携・共創を通じて市民のリユース意識の啓発と廃棄物の削減などに注力していくとしている。

リユースは日本での市場成長が見込まれており、国もリユース市場に注目している。環境省は2022年9月に策定した報告書「第四次循環型社会形成推進基本計画の第2回点検結果(循環経済工程表)」のなかで、リユースをはじめとする循環型事業モデルの取り組みを推進することを明記している。

※ 神奈川県座間市、東急株式会社、小田急電鉄株式会社調べ

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