「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」のメンバーおよび賛同24団体は6月4日、第204回国会で「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック新法)」が成立したことを受け、共同提言を発表した。

同ネットワークは、プラスチック新法において対策の対象がプラスチック使用製品のライフサイクル全体まで拡大された点を評価しつつ、包括的な基本法を早急に制定し、プラスチック製品の大幅削減に向けた実効的対策を導入することを求めた。

同ネットワークは日本政府に対して以下の9つの提言を公表した。企業への拡大生産者責任導入等によるプラスチック抑制が主眼だ。

  1. 循環型社会形成推進基本法(2000年6月公布)に規定された優先順位に基づき、プラスチック抑制を最優先すること。まず代替品を含め長期間利用やリユースなどを推進して、つぎに使用済みプラスチックの水平リサイクルを推進し、社会基盤構築に必要な措置を講ずること
  2. 2030年までに使い捨てプラスチックの製造・利用などを原則禁止すること。その実現に向けて、2025年までの削減率・分別回収率の目標を設定し、品目の優先順位を付けて必要な措置を講ずること
  3. プラスチック使用製品について環境配慮設計基準を設定し、成分表示・環境負荷・廃棄方法などについての表示を義務付けること。材料・添加剤については有害化学物質の管理措置を講じ、環境配慮設計基準を満たさない持続不可能な製品は製造・利用を段階的に禁止すること
  4. 代替素材導入に当たっては拡大目標を取り下げ、当該素材のライフサイクル全体での環境負荷や食料との競合などを検証して、特に環境負荷の高い代替素材の使用を禁止すること。やむを得ず代替素材を導入する際には、明確な基準を設けて環境負荷の低い素材の使用を義務付けること
  5. 製造事業者および使用事業者に対して、使用済みプラスチック製品のライフサイクル全般における拡大生産者責任を早期導入し、市町村によるプラスチック使用製品廃棄物の一括回収と再商品化についての費用負担を求めること
  6. 漁具・農業用器具などによる環境汚染を防止し資源循環を推進するため、環境配慮設計や流出防止措置の導入を製造事業者や使用事業者に義務付けること。適切な漁具管理や流出時の報告・回収を義務付け、必要な基盤を整備すること
  7. 意図的に使用されるマイクロプラスチックの製造・利用を早期に禁止し、一次マイクロプラスチックの発生抑制対策を早期導入すること
  8. プラスチック汚染問題の本質的解決には、同法案のような個別法の設定だけでは不十分であるため、明確な発生抑制目標を有しプラスチック汚染問題全体を包括した基本理念となるような基本法を早急に制定すること
  9. 国連環境総会において、日本政府としてプラスチック汚染の包括的解決に不可欠な「明確な国際目標・科学的観察と報告の体制・プラスチックのライフサイクル全般への包括的規制を有する、法的拘束力のある国際協定を早期発足させるために、最大限貢献する」こと

減プラスチック社会を実現するNGOネットワークのメンバーおよび賛同団体は、以下のとおり。

メンバー団体(五十音順)

特定非営利活動法人 OWS
国際環境 NGO グリーンピース・ジャパン
一般社団法人 JEAN
公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(WWF ジャパン)
全国川ごみネットワーク
特定非営利活動法人 ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
一般財団法人 地球・人間環境フォーラム
公益財団法人 日本自然保護協会
特定非営利活動法人 日本消費者連盟
公益財団法人 日本野鳥の会
特定非営利活動法人 パートナーシップオフィス
特定非営利活動法人 プラスチックフリージャパン
容器包装の3Rを進める全国ネットワーク
一般社団法人 リアル・コンサベーション

賛同団体(五十音順)

特定非営利活動法人アーキペラゴ
Rびんプロジェクト
小山の環境を考える市民の会
環境問題を考える会
さがみはら環境問題研究会
認定特定非営利活動法人 スペースふう
Hamaumi-浜松の海を守る会
特定非営利活動法人 プロジェクト保津川
奈良エコライフ研究会
山梨マイクロプラスチック削減プロジェクト

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