近年、クラウドファンディングやふるさと納税など、直接個人から団体・地方自治体に対して行う支援の形が注目されている。ふるさと納税の2020年度の寄付総額は約6725億円で過去最高であり、寄付件数も過去最多を記録した。総務省の調査によると、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「巣ごもり需要」を背景に、各地の返礼品を楽しむ寄付者が増えたためとみられる。

こうしたふるさと納税をはじめとした新たな金銭の流れは、企業と行政の間でも活発化している。今回は、企業と行政によるサーキュラーエコノミーの実践をテーマに、ヤフー株式会社による企業版ふるさと納税や、これまでリサイクル率12年連続日本一を獲得し、今回ヤフー株式会社の寄附先に選ばれた鹿児島県大崎町の取り組みを紹介したイベントの様子をお届けする。大崎町はいかにしてリサイクルを通してサーキュラーエコノミーの実践へつなげていくのか。企業と行政の協働するポイントや、その具体的な取り組みについて説明があった。

【登壇者プロフィール】

ヤフー株式会社 SR推進統括本部 長谷川琢也

1977年3月11日生まれ。ヤフー株式会社SR推進統括本部、「Yahoo! JAPAN SDGs」編集長。自分の誕生日に東日本大震災が起こり、思うところあって東北に関わり始める。海の課題解決メディア「Gyoppy!」プロデューサー、合同会社さかなデザインExecutive Producer、潜水士。

 

 

大崎町役場住民環境課環境対策係 松元昭二

大崎町役場住民環境課課長補佐兼環境対策係長。大崎町出身。平成27年から住民環境課に配属。担当7年目。リサイクルの取り組みをインドネシア国のバリ州やジャカルタ特別州へ展開するプロジェクトも推進している。そのリサイクルやごみの問題に関する見識の広さと情熱から、環境省、JICA(国際協力機構)関連のシンポジウムへの登壇や海外の大学等でも講演している。

 

一般社団法人大崎町SDGs推進協議会 専務理事 齊藤智彦

1984年東京都生まれ。国内外でアートに関する活動に従事した後、都市や地域をテーマにした活動に興味を持つようになる。慶應義塾大学SFC研究所にて地域政策についての研究・実践や、まちづくり会社の立ち上げ・運営、民間企業の経営などを経て、2019年1月、鹿児島県大崎町の政策補佐監に就任。各種計画策定や、地域内外の官民連携によるSDGs等の政策推進を担当。2020年7月大崎町に合作株式会社を設立。

【進行】

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任助教 高木超

1986年東京都生まれ。NPO等を経て、2012 年から神奈川県大和市役所の職員として住民協働等を担当。17年9月に退職し、米国で「自治体における SDGs のローカライズ」に関する研究を行う。帰国後の19年4月から現職。内閣府地域活性化伝道師のほか、亀岡市参与、鎌倉市、川崎市などでの自治体でSDGs推進アドバイザーを兼職。著書に『SDGs×自治体 実践ガイドブック 現場で活かせる知識と手法』ほか。

脱炭素社会に向けた企業版ふるさと納税

まずイベント冒頭では、ヤフー株式会社 SR推進統括本部の長谷川琢也さんから、今回実施されたヤフーの企業版ふるさと納税や、脱炭素の取り組みについてお話があった。

長谷川さん(ヤフー):ヤフー株式会社では、日本国内の脱炭素化の促進のため、脱炭素化を目指す地方公共団体に対して企業版ふるさと納税を活用した支援をすることで、2021年から「地域カーボンニュートラル促進プロジェクト」を実施しています。脱炭素化を一つの企業でやれることには限界がある一方で、企業のリソースを使って脱炭素社会を広げていきたいという思いがあり、「企業版ふるさと納税」に着目し、この春から公募を開始しました。民間企業が再生可能エネルギーや脱炭素に特化して、公募形式で脱炭素の取り組みをするのは日本初です。ヤフー株式会社では「2023年度 100%再エネチャレンジ」を宣言し、2023年度までに事業活動で利用する電力の100%再生可能エネルギー化を実現しようとしています。

長谷川さん(ヤフー):なぜヤフー株式会社が企業版ふるさと納税を実施するのかというと、2050年へ向けた国内の脱炭素化に貢献していきたいというのもありますし、SDGsの中でも特に17番の「パートナーシップで目標を達成しよう」を実現したいというのもあります。実際に今回の企業版ふるさと納税の審査プロセスでは、「脱炭素に対する直接的なインパクトがあるか」「独自性・地域性があるか」「他の地域で展開可能なモデルとなりうるか」という点を重視しました。「脱炭素」と一言で言っても、この取り組みには様々なバリエーションがあります。具体的に、炭素の排出削減、炭素の吸収・固定、再エネ発電といったものがあり、そうした多様な取り組みから審査を行いました。

第一弾の寄付先は、北海道三笠市、宮城県、新潟県、埼玉県、神奈川県平塚市、山梨県、三重県尾鷲市、鹿児島県大崎町の8自治体。例えば、北海道三笠市のプロジェクトでは、閉山炭鉱の採掘跡にCO2を注入し固定させる技術が研究されており、これが実現すれば、石炭から水素を作成する過程で発生するCO2を固定でき、カーボンニュートラルな水素産出が可能になるという。三重県尾鷲市は、尾鷲ヒノキ林業という江戸時代から続く伝統林業の森を守りながら、CO2吸収量が少なくなった樹齢の高い木の植え替えを定期的に行う。また、伐採した木の木質化を図るとともに、尾鷲市の森林のふもとにある九鬼湾で、藻場造成やブルーカーボンの取り組みを推進するという。このように、脱炭素に向けた取り組みであると同時に、「リジェネレーション(再生)」につながる挑戦がされている。

リサイクル率日本一の大崎町の取り組み

次に、大崎町役場住民環境課環境対策係 松元昭二さんから大崎町のリサイクル事業についての説明があった。大崎町にはもともと焼却施設がなく、すべてのごみを埋立処分場へ持って来ていた。しかし、その埋立のキャパシティには限界があるため、埋立処分場を拡大する必要性が出てきたという。そうした状況の中で、当時「容器包装リサイクル法」が施行された。世の中に「リサイクル」という言葉が見られ始めた時期と重なり、そこから大崎町はリサイクルに注力するようになったという。

松元さん(大崎町役場):焼却炉を建設しようという意見も出ましたが、維持費が高く、次世代への大きな負担になってしまうので、他の方法を探りました。新たに埋立処分場を作るにしても、すべてのごみを埋め立てていたことから「カラスやハエなどが集まる迷惑施設」というイメージが強く、住民の皆さんの理解が得られない。そこで、ごみを分別し、リサイクルする取り組みを始めることになりました。

その後、住民や行政、企業が連携して「大崎リサイクルシステム」が構築されてきた。大崎町ではごみを27品目に分別するだけでなく、廃食油からディーゼルエンジンの軽油代替燃料(BDF)精製を試みたり、町内の家庭や事業所から出される生ごみ・草木から堆肥を作ったり、ごみを資源につなげる活動を積極的に行っている。

松元さん(大崎町役場):大切なのは、住民によるごみの分別です。「大崎リサイクルシステム」は、実際に住民の皆さんが分別しないと成立しない仕組みなので、まずは住民の皆さんに埋立処分場の状況や行政の課題を共有しました。

実際に大崎町のリサイクル率は82.6%(2019年度)。これまで12年連続リサイクル率日本一に。そこには、「混ぜればごみ、分ければ資源」というポリシーがあるという。

リサイクルのメリットは、当初の目的だった埋立処分場の延命に加え、コスト削減がある。令和元年度における1人当たりのごみ処理にかかる経費は全国平均で16,400円だが、大崎町では9,400円。抑えられた分は福祉・教育分野などへ拠出される。住民によって分別された資源ごみの一部は有料で売却され、大崎町ではそのお金を奨学金事業として住民に還元している。また、資源ごみの中間処理を行う「有限会社そおリサイクルセンター」が設立され、現在は約40名の従業員が働いている。このように、大崎リサイクルシステムによって雇用も創出されているのだ。

こうした動きに注目が集まり、海外から要請を受けて他の地域でリサイクルの取り組みを支援することもあるという。実際に、現在大崎町はインドネシアの埋立処分場を支援した実績がある。大崎町と同じく、インドネシアにおいても焼却炉が少ないために、埋立処分場が逼迫している。これまで平成24〜26年度にかけて、インドネシアのデポック市に対して、生ごみの堆肥化技術を導入するなど支援を行っていた。またバリ州においても今後3年間支援することが決まっており、ジャカルタ州にリサイクル施設を作る予定だという。

大崎町発のリサイクルシステムの構築へ

世界にある焼却炉の3分の2が日本国内にあると言われる中、生ごみや草木の焼却に関して、植物は成長の過程でCO2を吸収するため、焼却してもカーボンニュートラルになるという考え方がある。しかしその一方で、生ごみは水を多く含んでいるため燃えにくく、よりエネルギー密度の高い助燃剤が必要になり、化石燃料由来のプラスチックなどを混ぜて燃やしているそうだ。

こうした現状に対する違和感は、大崎町のリサイクルシステムを展開する目的につながっている。そもそも生ごみを燃やさなければ、助燃剤となるプラスチックを一緒に燃やす必要がない。生ごみを燃やさずに分別すれば、プラスチックも燃やさず資源として循環させる選択肢ができる。地域を超えて広域で連携することで、ごみの減量化が進み、焼却炉の数も減らせるのではないか、と松元さんは話した。

一般社団法人大崎町SDGs推進協議会 専務理事の齊藤智彦さんからも、リサイクルシステムの構築に向けた背景についてお話があった。

齊藤さん(大崎町SDGs推進協議会):こういったビジョンを実際に展開していく中で課題もありました。これはあくまでも仮説であって、実際の環境評価は大崎町という一自治体だけではできていない現状があります。どれくらいCO2排出量を削減できるか、環境負荷がかかるのかについて言い切れていないのが現状です。この大崎町のリサイクルシステムを地域を超えて展開するためには、そういった部分も明らかにしなければならない。だからこそ、実際に研究機関とも協働し、しっかりとデータを測っていくところから活動をスタートすることになりました。

具体的に、研究体制として、元南極観測隊の大岩根尚さんとともに「サーキュラーヴィレッジラボ」というプログラムを実施し、研究機関と環境評価などの環境に関する共同研究を行う予定だ。

また、実際に住民の生活をより良くしていきたいという気持ちで、大崎町のリサイクルシステムだけでなく企業と連携して商品自体にもアプローチしていこうとしている。循環型社会の構築に向け、連携先を公募し、企業や団体とともに環境負荷が低くリサイクルに適した素材・製品などの開発や実装に向けて動いている。

行政と企業のコラボレーションが生み出す、脱炭素社会

最後に、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任助教の高木超さんをファシリテーターに、登壇者によるクロストークが行われた。

高木さん:すでに海外で大崎リサイクルシステムを展開している事例から、大崎町の取り組みの汎用性を感じました。実際に、インドネシアで大崎町のシステムを伝える中で、文化の違いを感じることはありましたか?

松元さん(大崎町役場):昔からインドネシアでは、バナナなどの有機物は捨てると微生物が分解してくれて川が浄化されると教えられており、ごみを川に捨てる習慣があったため、プラスチックも川に捨ててしまうという習慣があるみたいですね。結局、教育を通してうまくごみ処理について伝わっていないからそうなってしまっているだけで、コミュニティの協力があれば、うまく分別やリサイクルを実践できるのではないかと感じています。


高木さん:今回のタイトルにある「企業と行政の連携」は議論のポイントだと思っています。ヤフー株式会社と大崎町の連携だけでなく、一般社団法人大崎町SDGs推進協議会と大崎町の連携もあると思うのですが、齊藤さん、こういった公民連携を進めていく中で心がけていることや、困難だったことはありますか?

齊藤さん(大崎町SDGs推進協議会):僕らの組織は、今回のように企業の方々と行政がうまく付き合うためのハブが必要だなという意識から設立されました。企業と行政をうまくつなげるために、それぞれの言語や論理の違いを丁寧に理解しなければならないなと思っています。特に行政の場合は、地域住民の考え方や気持ちと寄り添っていかないといけないので、急に大きな変化が来たときに住民の方々との関係性が崩れると大変なんですよね。企業は、利益を上げていかなければならない面や、スピードの違いなどをうまく調整していくのが重要だと思います。僕らは地域側に根を下ろしながら企業の方々と連携しようとしていますが、どういった自治体なら付き合いやすいかを長谷川さんに伺いたいと思いました。

長谷川さん(ヤフー):私も、ヤフー株式会社ではない団体で行政とつなげるハブになるようなことを行っていますが、齊藤さんが仰ることは大事な点だと思います。コーディネーターがいるだけでなく、誰がどれだけコミットするかが大事だと思っていて。行政も基本的に2、3年で担当が変わることもあるので、企業と行政の間になる人が調整して物差しを揃え、担当が変わってもちゃんとつなぎ役になるのが大事だなと思います。

そうした担当者との関係性の話から、約13年間リサイクル率日本一の状況が続いている大崎町ではなぜ取り組みが持続しているのか、その背景についてお話があった。

松元さん(大崎町役場):先ほど、大崎町では住民主導だという話をしました。その代表組織が衛生自治会です。今までリサイクルが続いてきたのは、衛生自治会の皆さんに対して行政が相談しながら様々な取り組みを継続していった流れがあります。この関係性が重要だと思いますね。

長谷川さん(ヤフー):齊藤さんは、これまで色々な地域で取り組みをされてきたと思いますが、サーキュラーエコノミーの取り組みや大崎町に辿り着いた理由や経緯を伺いたいです。

齊藤さん(大崎町SDGs推進協議会):単純な理由としては、母親が鹿児島出身で、昔から鹿児島で仕事をしてみたいという気持ちがありました。そうした中で、前の地域の仕事を後任に渡し、次のステージに移ったタイミングで私自身に子どもができました。次の世代につながる仕事がしたかったのですが、大崎町や松元さんと出会い、約1万2000人という比較的小さな規模の自治体の方々が世界規模で物事を語る姿に驚きました。当時はSDGsやサーキュラーエコノミーという言葉を使おうとは思ってもいなかったのですが、突き詰めていくと時代の潮流とも即している可能性があり、自分も挑戦したい領域だったので、ぜひやらせていただきたいと大崎町にお願いし、今に至ります。

松元さん(大崎町役場):色々なところと連携してご縁をいただき、様々な可能性があるなと妄想が膨らみます。持続可能な関係性を続けていきたいと自治体側として思うのですが、企業側はそういったことを求めているのか、また可能なのかを長谷川さんに伺いたいです。

長谷川さん(ヤフー):個人的には、そういった関係を続けていきたいと思っています。SDGsやカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーってすぐに成果が出るものではないですよね。長い年月をかけて人間が壊してきてしまったものは、すぐには再生できないので、長い目で連携を見ていかないといけないなと思います。また、企業や行政、間に入っている団体がそういった意識を持って、関係性を作っていくのが大事だと思っています。さらに次世代につなぐために、次の担当にもきちんとバトンを渡していくことです。企業、特に株式会社だと様々なステークホルダーがいますし、ユーザーからも地域に貢献しているかどうかなど様々な視線を強く感じているので、きちんと成果を見せていくことが大事だと思っています。

人と人とがつなぐ、循環社会への思い

高木さん:大崎リサイクルシステムは、ごみの分別をきちんと行って、ごみを価値のある資源として捉えていくというものですが、このシステムを展開する中でのポイントやビジョンについて教えていただけますか。

齊藤さん(大崎町SDGs推進協議会):連携自治体を増やして実際に協議し、どこからスタートできるかを考えていくという点もありますが、そもそも大崎リサイクルシステムは「ハード」のシステムではありません。リサイクルセンターや堆肥化処理施設を建てれば良いということではなく、実際に運用する人によって成り立っている仕組みなので、大崎リサイクルシステムは「ソフト」のシステムと言われています。協議会としては、研究開発や調査事業の他にも人材育成が重要だと考えており、それが今後の展開につながっていくのではないかなと思います。

松元さん(大崎町役場):人材育成は大切ですよね。核になる人たちが周りの人たちを巻き込んでいく流れができれば、そうした経験を重ねている町として皆さんに色々お伝えできるのではないかと思っています。世の中が持続可能な世界を求めているわけですから、方向性としては間違ってはいないと思います。一緒に協力できるところがあれば協力していく。ゼロからのスタートだと時間がかかることを、大崎町の経験やノウハウをぎゅっとまとめて伝えることでより早く展開していきたいですし、仲間を増やしていきたいですね。みんなで脱炭素の世界を目指していくことが大切だと思います。

最後に、今回のイベントのまとめとして長谷川さんから、ヤフー株式会社また長谷川さん個人として大崎町や自治体に期待することについてお話があった。

長谷川さん(ヤフー):大崎町に関しては、この事例を一日でも早く、世界に対しても広げていけたらと思っています。サーキュラーエコノミーでは、サービスや商品開発などを通じて新たな環境負荷軽減の方法や、廃棄をせず、いかに経済を回していくかが模索されています。サーキュラーエコノミーの取り組みに関して、「日本は遅れている」とも言われますが、日本の各地域に良い事例を作っていくことが大事だと思っています。期待というか、一緒に頑張っていきたい、という感じですね。自治体に関しては、取り組みがうまく行っているところにどんどん話を聞いて、大崎町などから人の巻き込み方を学んでいっていただくのが良いではないかと思っています。

高木さん:齊藤さんと松元さんには、「OSAKINIプロジェクト」について、大崎町が目指す未来とはどのようなものか教えていただきたいのですが、いかがでしょうか。

齊藤さん(大崎町SDGs推進協議会):「リサイクルの町から、世界の未来をつくる町へ」というのが大崎町SDGs推進協議会のキャッチコピーです。大崎町で活動していて良かったなと思うのは、自分たちのためだけでなく次の世代につながることをやっていこうという意識がベースにあったことです。地方創生で地域同士が争うのではなく、大崎町は「情けは人のためならず」を体現している自治体だなと思っていて。未来の町を作り世界に貢献することが、結果として自分たちの生活に返ってくるんだろうなと。そういう想いを持つところが増えていってほしいと思っています。

松元さん(大崎町役場):日本にある、ごみを燃やして出た焼却灰を処理する埋立処分場の残余年数の全国平均は20年くらいと言われています。ということは、どちらにせよ今後はごみを減らさないといけない。これは、喫緊の課題になっていくと思います。ごみを不要物として処分するのではなくて、ごみが出ない仕組みを作ることが必ず求められる。大崎町では「サーキュラービレッジ構想」を通して、これから企業と連携してごみが出ない商品作りを行い、最終的にリサイクルしなくても良い町を目指しています。大崎町を起点にそういった事例を作ることで、いろんな研究者や留学生が世界中から大崎に集まってくると、リサイクル技術の最先端を学べるようになり、交流が生まれる。そして、子どもたちが優秀な留学生と触れ合って世界で活躍できるというような好循環型社会を目指す……そんなイメージを持って取り組んでいけたら良いなと思っています。

編集後記

大崎町が実施するリサイクルシステムに関して、特に設備などのハード面だけでなく人材育成といったソフト面の重要性を指摘する言葉が印象的だった。世界全体が循環社会に向けて意識を整えている中で、日本が「遅れている」と指摘されるのは、人々の意識がそういった社会システムの構築に向けられていないからではないだろうか。だからこそ、松元さんたちのように、今置かれている状況や、なぜリサイクルが重要なのかを丁寧に説明していく必要がある。そうして培われた人間関係の結びつきが、循環社会に向けた鍵となると感じた。まずは、自身がそれぞれ属する組織やコミュニティの中で自分の想いを発信することが、大きな第一歩になるはずだ。

【参考サイト】「Yahoo! JAPANによる企業版ふるさと納税第一弾の寄附先が決定。リサイクル率日本一の鹿児島県大崎町が選定」
【関連記事】大崎町、循環型社会構築に向けた研究プログラム「サーキュラーヴィレッジ・大崎町」を開始
【関連記事】ヤフー、企業版ふるさと納税でリサイクル率日本一の鹿児島県大崎町を選定。4,599万円寄附
【関連記事】「リサイクルの町から、世界の未来を作る町へ。」リサイクル率12年連続日本一の鹿児島県大崎町がSDGs推進協議会を設立
【関連記事】多彩なアプローチで、循環型都市への移行を目指す:Circular X 第2回「サーキュラーエコノミーと自治体」イベントレポート
※本記事は、ハーチ株式会社が運営する「IDEAS FOR GOOD」からの転載記事となります。