鹿児島県大崎町は8月24日、ヤフー株式会社が「Yahoo! JAPAN 地域カーボンニュートラル促進プロジェクト」において、企業版ふるさと納税の寄附先として同町を選定したと発表した。4,599万円が同町に寄付される。

同プロジェクトの目的は地域の脱炭素化などの促進で、ヤフー株式会社は地方公共団体が展開するカーボンニュートラルに向けた地方創生の取り組みを2021年4月1日より募集し、寄付を通じて支援することを公表していた。大崎町のほかに、同プロジェクトの第一弾の寄付先として今回選ばれたのは、北海道三笠市・宮城県・埼玉県・神奈川県平塚市・新潟県・山梨県・三重県尾鷲市だ。

大崎町は、「大崎システム」という「焼却炉に頼らない、廃棄物の80%以上をリサイクルする資源循環型の社会形成」に20年以上取り組んでいる。その結果、資源リサイクル率12年連続日本一を達成し、第2回ジャパンSDGsアワード副本部長賞を受賞するなど、環境問題への取り組みが国内外から高く評価されている。

同寄附を活用して、大崎町は大崎システムのCO2削減量を数値化し国内外に展開できるプログラムを開発することで、脱炭素化促進を目指すとしている。寄附活用事業の概要として、大崎町は以下を公表した。

  1. 大崎システムを国内外に展開して循環型社会を実現し、カーボンニュートラルを達成する
  2. 大崎システムの評価:研究者や研究機関と共同で大崎システムのCO2排出量を測定・分析する
  3. プロセス設計・社会実装:研究者や企業と共同で他地域への導入プロセスを設計し、資源循環の社会実装を実施する(大崎システムのアップデート)
  4. 大崎システムの横展開:他地域に普及と実践を促す(情報発信や人材育成を含む)
  5. カーボンニュートラルを含むサーキュラーエコノミーへの移行を通じて、大崎町でより快適な暮らしの実現を目指し、循環型社会を担う仕事・雇用を創出する

2021年秋に、大崎町は大崎システムの展開に必要な現場の評価と新技術開発に向けた協力機関の公募を開始する予定だ。2021年度は環境負荷の低い商品と販売方法の開発に焦点を当て、小売業・消費財メーカー・素材メーカー・ 物流企業(各1~2社程度)、および環境学・環境経済学・社会学分野での研究者、大崎システムの展開先となる自治体や地域を公募するとしている。各事業は、2021年4月に設立された一般社団法人大崎町SDGs推進協議会が実施する。

(出典:大崎町)

長年リサイクル率日本一を達成・実践している大崎システムのCO2排出量などを測定・評価することで、更新時期を迎える焼却炉を抱える多くの自治体への展開が現実化するとヤフー株式会社はみている。

Circular Economy Hub は2021年5月、オンライン学習プログラム「Circular X(サーキュラーエックス)」シリーズにて大崎町SDGs推進協議会の中村健児氏にお話を伺った。同月は「サーキュラーエコノミーと自治体」をテーマに開催し、中村氏と鹿児島県薩摩川内市企画制作部長の古川英利氏と九州大学大学院芸術工学研究院の稲村徳州氏をお迎えした。そのなかで中村氏は、循環型都市を目指すようになった理由・現在の取り組み・今後の課題などについて具体的にお話いただいた。レポートはこちらから。

【プレスリリース】
Yahoo! JAPANによる企業版ふるさと納税第一弾の寄附先が決定。リサイクル率日本一の鹿児島県大崎町が選定(鹿児島県大崎町)
Yahoo! JAPAN、日本初「カーボンニュートラル」をテーマにした 公募による企業版ふるさと納税の寄付先を発表(ヤフー株式会社)
【参照サイト】Yahoo! JAPANによる本町への企業版ふるさと納税について
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*冒頭の画像は、大崎町の東靖弘町長(左)と一般社団法人大崎町SDGs推進協議会の齊藤智彦専務理事(右)。(出典:大崎町)