英国のチャールズ皇太子が立ち上げた持続可能な市場のためのイニシアティブ(Sustainable Markets Initiative)は、企業が希望に満ち且つ持続可能な未来に向かって前進していくための2030年までのロードマップを提示する。同イニシアティブは、自然の力を民間企業の持つ変革する力や技術革新、資源と組み合わせて活用しようと呼びかけている。
チャールズ皇太子は1月11日、パリで開催されたOne Planet Summitにおいてテラカルタ憲章への支援を呼びかけた。
「本日私は世界中の、そしてあらゆる組織のリーダーに向け緊急度の高い呼びかけを行います。この試みに参加し、テラカルタへの支援をお願いします。次の10年に向け、自然と人と地球との調和によって繁栄をもたらしましょう。特に、産業や金融に関わる皆さんが実践的なリーダーシップを発揮されることを期待します」
同サミットでのチャールズ皇太子による開会スピーチより抜粋
希望の年となる2021年の始まりに、この重要な One Planet Summit にお招き頂いたことを大変光栄に思います。
今年は、人類が今世紀半ばまでに達成しなければならないマイルストーンが、年内後半に中国で行われる生物多様性条約締結国会議や11月に英国で開催されるCOP26でより具体的に設定されることを望みます。
ただし、合意形成や意思、目的や目標は最初のステップに過ぎず、その後に財源確保や技術的な創意工夫、並外れた努力、制度の革新などの努力を続けることが必要です。
1年前ダボスで、持続可能な市場のためのイニシアティブ(Sustainable Markets Initiative)を立ち上げました。私たちの住む地球が直面している課題を解決する唯一の策は、自然資本の経済に調和することであるという私の信念から生まれたものです。
昨年1月時点では、その後に起こる壊滅的なパンデミックや、その恐ろしい影響など想像もできませんでした。昨年起こったことを振り返ると、人類の健康と地球の健康が根本でつながっていることは明らかです。
過去1年間、私はこのイニシアティブを通じて世界のあらゆる産業や経済界のリーダーに対し、地球をより持続可能な軌道に乗せる根本的な方法を見つけようと呼びかけてきました。
テラカルタでは行動するべき10の分野の要点をまとめていますが、中でも特に、二酸化炭素の排出量を増やすような土地利用の方法を至急改め、自然資本の回復に向けた投資にフォーカスすることが重要です。
土壌・森林・草地・湿地・農地・海洋生態系の回復のような自然をベースにしたソリューションは、炭素排出量の削減と、生物多様性の保護との両立を実現します。カーボンプライシング(*1)やカーボンオフセット(*2)、自然資本への投資は、これらの活動を拡大するために必要な資本獲得にも大きな影響を与えることでしょう。 たとえば、排出量ゼロの目標に取り組む企業が増加するほど、自然をベースにしたカーボンオフセット市場は大幅に拡大することが予想できます。
2022年までに100億ドルを目標に自然資本への投資を増やしていくため、世界規模での民間セクターの同盟設立を目指します。この同盟を通じ、企業のカーボンオフセットとカーボンプライシングを通じて自然資本への投資を拡大することも目指しています。
持続可能な未来はこれからの時代の成長物語ですが、実現されるかどうかは私たちの活動にかかっています。テラカルタがその実現に貢献することを願っています。より明るく持続可能な未来に向かって、これ以上時間を無駄にすることなく進んでいきましょう。
*1 カーボンプライシングとは
炭素の排出量に価格付けを行うこと。炭素価格が現在、または将来の事業活動に対して与える影響を定量的に明らかにし、企業が自主的に炭素に価格付けを行う。
*2カーボンオフセットとは
私たちの活動により排出される二酸化炭素などの温室効果ガスの排出をまずできるだけ減らすように努力をした上で、それでも排出してしまう温室効果ガスの排出量を、他の場所での削減・吸収活動(削減・吸収量)により埋め合わせようという考え方
【参照記事】The Sustainable Markets Initiative announces the Terra Carta | Prince of Wales
【参照記事】Opening remarks by HRH The Prince of Wales at the One Planet Summit | Prince of Wales
【参考】TERRA CARTA