カナダ政府は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって影響を受けた企業を救済するための新たなプログラムを発表した。同措置はグリーンリカバリーの一環として遂行される。

このプログラムでは、年間の売り上げが3億ドル(約232億円)を超える企業が、上限6000万ドル(約46億円)のつなぎ融資、8000万ドル(約62億円)までの保証を受けることができる。ただし、この融資を受けるためには気候変動対策に積極的に取り組むことなどの条件が課せられている。そのため、融資を受ける企業は、環境負荷を低減する方法やパリ協定で政府が掲げた目標にどのように貢献しうるかを記載したレポートを毎年提出することが求められている。

「この融資を受ける企業は、将来の気候変動情報開示やサステナビリティ目標を約束することが要求される」と、ビル・モルノー財務大臣は強調した。

カナダは、地域レベルでの差異はあるが、石炭に大きく依存し、化石燃料産業から脱却できていない。そのため、パリ協定のもとで掲げた目標達成にはほど遠い状況だ。そんな中、新型コロナまん延からの経済復興のための新たなプログラムによって、気候変動への取り組みを加速させたい考えだ。

新型コロナからの復興に向けて、徐々に経済活動再開への道筋を考え始めている中で、各国では気候変動や野生生物保護などを考慮した形での経済活動の再開を検討している。こうしたグリーンリカバリーの考え方は、気候変動への影響を緩和するだけでなく、持続可能な農業やエコツーリズム、再生可能エネルギーへの取り組みから持続可能な発展が期待できるほか、災害や感染症に強い社会をつくることにつながる。

それゆえ、コロナ禍で企業から助けを求められた政府が企業に対し、「支援を受ける代わりに社会に対して何ができるか」「CO2排出をどう減らすことができるか」などの質問を問いかけることで、国の形を大きく変えることにもつながる可能性を秘めている。

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