オーストラリアのモナシュ大学はこのほど、サーキュラーエコノミー(以下、CE)への移行に向けて求められる消費者行動をまとめたロードマップ「The Behavioural Roadmap to Circular Consumption」を公表した。同ロードマップは、470の消費者行動の分析に基づき、CE移行に必要とされる8つの消費者行動様式を特定した上で、特に有効な3つの消費者行動様式を強調している。

特に有効な3つの消費者行動様式

同ロードマップ は、オーストラリアのマテリアルフットプリントを削減するために消費者と政策立案者が採用できる選択肢として、「消費をなくす、減らす」「貸し借りする」「中古品を調達する」「長寿命品を買う」「循環的な素材で作られたものを買う」「使い続ける、再使用する」「修理する」「譲る、もらう」という8つの核となる循環型行動様式を特定。この中から、さらに「貸し借りする」「中古品を調達する」「長寿命品を買う」という3つの行動様式について、CE移行に向けて特に有効であると強調している。

(8つの核となる循環型行動「The Behavioural Roadmap to Circular Consumption」より)

同ロードマップは、これら3つの特に有効な消費者行動様式について、生産・消費システム全体の変革を加速するために政策立案者が介入できる余地があるとして、以下の提言を行っている。

貸し借りする(アイテムやサービス)

新たな行動変容の取り組みとして、個人と組織の消費者の双方に、購入する代わりに品物を借りたり貸したりすることを可能にし、奨励する。

中古品を調達する

個人消費者に対しては、「新品の代わりに中古品を買う」ことを主流とする行動変容の取り組みを継続・拡大するとともに、組織としての消費者に対して拡張可能な実践方法を模索する。

長寿命品を買う

最低限の設計や輸入基準を通じて、小売商品が長持ちするよう設計されていることを確認し、「長持ちするよう設計されている」ことを組織の持続可能で循環型の調達方針に含める。

同ロードマップを手掛けたモナシュ大学BehaviourWorks Australia (BWA)主席研究員のジェニファー・マックリン氏は、政策立案者がCEを実現するために最も変革の可能性がある行動様式を明らかにした初のツールだと強調。また、消費者との間には、デザイナーや生産者、輸入業者、小売業者、サービスプロバイダー、政府、市民セクターなど、システム内の他の利害関係者とのつながりがあると指摘した上で、「重要なのは、消費者だけに責任を負わせるのではなく、生産と消費のサイクルにおけるすべての人の役割に注目することだ」と述べている。

同ロードマップの全編は、こちらのページからダウンロードできる。

【プレスリリース】New behavioural system mapping shows key consumer behaviours needed to achieve a circular economy