英国に本拠を置くサーキュラーエコノミー推進団体のエレン・マッカーサー財団は6月1日、企業の事業運営におけるサーキュラリティ(循環性)を計測できる無料デジタルツール「Circulytics(サーキュリティクス)」の導入企業が世界で500社を超えたと発表した。
Circulyticsは1月の公開以降、サーキュラーエコノミーへの移行を目指す企業に自社の製品や資源フローのサーキュラリティを定量的に把握・モニタリングすることを可能にし、サーキュラリティ向上のための改善策を提案してきた。導入する500社のうち121社は年間売上10億米ドル(約1090億円)を超える大企業だ。
コロナ危機により世界経済の脆弱さが露呈し、よりレジリエンスの高い経済へと立て直しが求められる今、これまでの経営戦略やビジネスモデル、サプライチェーンを見直すことが重要となる。今回の危機に学び、これを採取・製造・廃棄からなるリニアエコノミーに逆戻りするのではなく、気候変動対策を図り、サーキュラーエコノミーへと舵を切る転機と捉えるグリーンリカバリーの機運が欧米で高まっている。そんな中、企業の取り組みを「計測・管理可能なデータ」としてのツールや指標の需要は高まっていくと見られる。
同財団創設者のエレン・マッカーサー氏は、Circulyticsについて、その意義をこう強調する。
「企業にとって経済的利益とより良い将来の両方を追求できる戦略があることを創造してみてください。企業はサーキュラーエコノミーがいかに長期的な成功をもたらすか、新しい成長分野を開拓するか、経済の活性化に貢献できるかを認識しています。戦略的決断を正しく行うために、企業は適切なデータを必要としています。Circulyticsは、サーキュラーエコノミーに関する現在入手可能な幅広い指標を利用し、世界をリードする分析と洞察を提供します。また、サーキュラーエコノミーのパフォーマンスや進捗の測定、イノベーション創出のためのツールとして、最も網羅された指標を企業にお届けします」
導入企業の一つである、英国の包装容器製造の世界的大手DS Smithのサステナビリティ・データ&レポーティング統括のTom Giddings氏は次のように述べる。「顧客や投資家は、これまでにないほど企業の環境に対する取り組みやサーキュラーエコノミー移行についての情報を求めています。これらの要望に対して、このツールは定量的に公表することを可能にするものです」
サーキュラーエコノミーへと移行するために、企業は戦略の複雑な変更を求められる。Circulyticsは、その複雑さの中から取るべき対策と優先順位を導き出してくれる、いわば企業にとっての「コンパス」だ。企業がコロナ危機から脱し、「より良い」回復と繁栄をしていくうえでの心強い存在になるだろう。
なお、同財団はCirculyticsに関するウェビナーを6月22日(月)日本時間23時に開催するとしている。
【参照記事】500 global businesses sign up to Circulytics
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