環境省は8月26日、「令和6年度脱炭素型循環経済システム構築促進事業」の公募結果を発表した。従来型のプラスチック利用を段階的に改め、脱炭素社会構築に貢献する資源循環システムの構築を促す目的。委託事業の公募は2024年2月22日から3月25日の期間で行われ、化石由来のプラスチック代替素材開発や、リサイクル技術の高度化などに焦点を当てた7つのプロジェクトが選定された。

環境省は「プラスチック資源循環戦略」(2019年5月31日)を掲げており、3R(リデュース、リユース、リサイクル)に加え、再生可能資源(Renewable)の利用を推進している。従来型の化石資源由来プラスチックからバイオプラスチックなどの省CO2型の再生可能素材への転換や、プラスチック・廃油のリサイクルプロセスの構築を促し、脱炭素化を目指す。

本事業では、「化石資源由来プラスチックを代替する省CO2型バイオプラスチック等(再生可能資源)への転換及び社会実装化実証事業」、「プラスチック等のリサイクルプロセス構築及び省 CO2化実証事業」、「マイクロプラスチックによる汚染防止のための化石資源由来素材からの代替実証事業」の3つの分野で事業化に向けた実証を行う。

公募で選ばれた7つのプロジェクトには、長寿命用途に適したバイオプラスチックの開発やリサイクル技術の向上、さらにはマイクロプラスチック汚染防止のための代替素材開発などが含まれている。例えば、公益財団法人京都高度技術研究所は、自動車用途向けに使用年限が長いプラスチックのバイオマス化技術を開発し、資源循環モデルの構築を進めている。また、株式会社MSCは、微粉砕技術を用いて従来リサイクル困難だった残渣を資材として再利用(マテリアルリサイクル)することで、省CO2化を実証する。

選定されたプロジェクト

  • 公益財団法人京都高度技術研究所:長寿命用途のバイオプラスチック素材開発と資源循環のライフサイクル実証事業
  • 株式会社MSC:微粉砕技術を用いた容器包装リサイクル残渣及び製品プラスチック残渣の高度なマテリアルリサイクル実証事業
  • グンゼ株式会社:異種プラスチック積層フィルムの分離技術
  • TOTO株式会社:水回り製品の製造廃材による再生プラスチックに関する事業
  • 東レ株式会社:新規溶媒溶解法によるCFRPリサイクルプロセス実証事業
  • 丸紅株式会社:一般廃棄プラスチックを石油化学プラントにおいてケミカルリサイクルするために必要な前処理装置開発検討実証事業
  • いなほ化工株式会社:コメを配合した生分解性樹脂からの徐溶性被覆肥料の開発と普及実証

今回の公募で採択されたプロジェクトは、今後、社会実装に向けた技術的課題の解決に取り組み、事業化を目指して実証を進めていく予定だ。

【プレスリリース】令和6年度脱炭素型循環経済システム構築促進事業(委託)の 公募結果について
【関連記事】環境省、2023年度の日本の海洋プラスチックごみ流出量の推計を公表
【関連記事】環境省、国内資源循環体制構築に向けた再エネ関連製品と素材の最適化実証事業の公募結果を発表
【関連記事】環境省、使用済み製品リユース自治体モデル・使用済み衣類回収システム構築モデルの実証公募採択事業を発表