環境省はこのほど、「令和3年度脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」として丸紅株式会社(以下、丸紅)が取り組む「循環型食器edishのバリエーション検討・成形技術実証及び堆肥化技術実証事業」を採択した。

循環型食器edishは、2019年度に開催された丸紅のビジネスプランコンテスト(※)から誕生した。edishの特徴は以下である。

  • これまでほとんど使用されてこなかった食物の皮などの食品廃材を独自技術で食器にアップサイクルする
  • 使用後に回収されたedishを生ごみとともに堆肥化して土の栄養とし、野菜や花として再び飲食の場に戻すことで2回目のアップサイクルを目指す

同実証事業の概要は、以下である。

実施期間

2021年8月~2022年3月(予定)

関係事業者

  • 代表事業者:丸紅株式会社
  • 協力事業者:丸紅フォレストリンクス株式会社、株式会社スーパーホテル、安城産業文化公園デンパーク、プラス産業株式会社、日本ミクニヤ株式会社、タケ・サイト株式会社

目的

  1. 使い捨ての食器・カトラリーをすべてedish素材でそろえ、分別の手間を減らし利用者の利便性を向上させる(既存のボウル・平皿・深皿に加えて、カトラリー類を開発し同実証事業にて使用する予定。カトラリーの原料はカカオ殻)
  2. 回収したedishと混ぜる生ごみの量を監視して、完成した堆肥の成分を測定し、発酵分解による排出ガスを検証する
  3. 農業法人などに依頼して、完成した堆肥を用いて野菜栽培実験を実施し、堆肥としての有効性(栄養価)を確認する

実施場所

  • ホテル:株式会社スーパーホテルと共同で、スーパーホテル富士河口湖天然温泉の朝食ビュッフェにて実証を実施し、完成した堆肥は周辺の農地にて使用することを目指す
  • 公園:愛知県の安城産業文化公園デンパークと共同で、公園内のバーベキュー場で使用する皿とコップにedishを使用し、公園内で循環させてごみ削減を目指す
  • オフィスビル:丸紅本社ビルの社員食堂で使用するテイクアウト容器・皿・カトラリーにedishを使用し、ビル内で回収・地下に設置した堆肥化装置で堆肥化する

丸紅株式会社が開発中のedishカトラリー

丸紅は、2021年3月に発表した『気候変動長期ビジョン』において、事業を通じた低炭素化・脱炭素化への貢献を掲げている。今後も食品廃材を原料にしたedishを使用・回収し、焼却処分しない資源循環を実現することでCO2排出量削減を目指す意向だ。

これまでも水草生ごみ生分解性紙コップを堆肥化させて野菜を栽培したり、その野菜をホテルで提供したりといった取り組みが実施されているが、丸紅の同事業は食品廃材を食器にアップサイクルすることが新しい視点となる。2022年4月からはコンビニ・飲食店・宿泊施設などに対して、廃棄物の排出抑制に向けた取り組みの実施が義務付けられる。この取り組みには、「使い捨てフォークやスプーンなどのプラ使用製品の有償化」や「再生可能資源や再生プラスチックを使用した製品の提供」などが含まれ、丸紅の同事業は後者にあたる。テイクアウトの需要も増えるなか、多くの可能性を持つ同事業の今後の展開が注目される。

※ ビジネスプランコンテスト:2018年度に開始された同コンテストでは、丸紅グループ社員が新規ビジネスアイデアを応募でき、選考を経てコンテストを通過したアイデアは次年度以降事業化に挑戦できる

【プレスリリース】循環型食器「edish」の環境省実証事業採択について~食器の回収から堆肥化、野菜の栽培までのアップサイクルを実現~
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*冒頭の画像は、循環型食器edish(記事中の画像の出典:丸紅株式会社)