ドイツに本拠を置く欧州バイオプラスチック協会(以下、EUBP)はこのほど、欧州委員会の科学的助言メカニズム(SAM)によるレポート「Biodegradability of plastics in the open environment(開放型環境におけるプラスチックの生分解性)」が、サーキュラーエコノミーにおける生分解性プラスチックの役割を裏付けていると発表した。同レポートは、サーキュラーエコノミーの実現への貢献と、欧州の廃棄物管理の課題への取り組みにつながる生分解性ポリマーの用途を特定している。

EUBPの理事長であるHasso von Pogrell氏は、「本来、生分解性プラスチックの有益な適用分野は焦点ではありませんでしたが、このレポートがそれを明確化しており、嬉しく思います。私たちは、適切な廃棄物処理を促進する経済的インセンティブの要求と、それに重点を置いた研究を歓迎します。同レポートは、『使用後に特定のプラスチック製品あるいはその断片を、環境から除去または回収することが困難な場合』に生分解性プラスチックを適用する利点があると強調しています。従来のプラスチックからつくられたマルチフィルムが使用されている例として、農業が挙げられます。土壌へのプラスチックの蓄積という課題に対して、土壌生分解性代替物を通じて取り組むことができます」と述べた。

同レポートは、「堆肥化または廃水処理される予定の有機材料からプラスチックを分離することが難しい場合」も生分解性プラスチック製品の利点が発揮されると強調し、EUBPはこれについても歓迎している。食品残さでひどく汚れた容器包装はメカニカルリサイクルができず、焼却されるか埋め立てられるが、商業用コンポスト施設で堆肥化できる容器包装を使用することで、これらを有機的にリサイクルできる。商業用コンポスト施設で堆肥化できる生物由来のビニール袋は、生物由来廃棄物の回収率を大幅に向上させることがいくつかの研究で証明されている。しかし、EUBPは「製品組成が受け入れ環境に適切で、製品またはその断片がより遅い生分解速度の受け入れ環境で堆肥化される可能性を最小限にした場合にのみ、生分解性プラスチックの潜在的な利点が効果を発揮する」という同レポ―トの発表に同意した。EUBPは、レポートで言及された生分解性および堆肥化可能なプラスチックの適切な管理を保証する、効果的な廃棄物管理インフラに着目することも重要だとしている。

同氏は、「2023年末までに有機廃棄物を埋立処分しないというEUの目標の期限が近づくにつれ、商業用コンポスト施設で堆肥化できるプラスチックはますます重要になるでしょう」と語った。

開放型環境での特定プラスチックの生分解性に関する科学的証拠を検討するうえで、同レポートは重要な最初の一歩であるとEUBPは認識している。また、同レポートはプラスチック廃棄物を削減してサーキュラーエコノミーを実現するには、消費者を含むバリューチェーン全体と国・地方自治体による継続的な努力が必要であることも明らかにした。

「生分解性プラスチックの可能性を最大限に引き出すには、EUはラベルの改善と支持、認証と基準の定期的な見直し、および廃棄物管理に関するコミュニケーション促進のための支援策を講じなくてはなりません。消費者は、ますます持続可能性を求めています。しかし、有機的リサイクルを含む、より効果的な廃棄物抑制・リサイクル・管理を通じて、サーキュラーエコノミーを実現するという課題に対処する必要があります。私たちは、この取り組みを支援する準備ができています」と、同氏は結論づけた。

【プレスリリース】Commission’s SAM report confirms role of biodegradable plastics within a circular economy
【参照レポート】BIODEGRADABILITY OF PLASTICS IN THE OPEN ENVIRONMENT
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