「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」のメンバーおよび賛同23団体は2月12日、2030年までに自然環境へのプラスチック流出ゼロ・使い捨てプラスチック使用の原則ゼロを実現し、2050年までにバージンプラスチックに依存しない社会を築くための戦略を推進する「脱プラスチック戦略推進基本法(案)」を発表した。

同基本法案は、政府が2021年1月28日に示した「今後のプラスチック資源循環施策のあり方について」、および政府が第204回通常国会で成立を目指す「プラスチックにかかる資源循環の促進等に関する法律(仮称)」に関連するものである。日本で発生する年間850万トンの廃プラスチックの47%が使い捨て用途の容器包装であり(※1)、プラスチック容器包装の国民一人当たりの廃棄量は世界で2位(※2)と、私たちは大量の使い捨てプラスチックを使用・廃棄している。これらの一部や、プラスチック製品の使用に伴い発生するマイクロプラスチックや漁具など、多くのプラスチックが自然環境へ流出し続けている。

2020年10月、政府は「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言したが、プラスチックの大量生産と焼却処理(熱回収を含む)に伴って発生するCO2は地球温暖化を加速させている。代替品とされる紙製やバイオマス素材の製品についても、過剰生産することで、原材料栽培地への転換による原生林の伐採など、新たな環境問題が発生する恐れがあると同ネットワークはみている。プラスチックリサイクルは素材の品質や機能の低下を伴うものが多く、それらを改善しても、廃棄物を大量発生させたまま、国内リサイクルに依存していくことは不可能であると同ネットワークは考える。

同ネットワークは、まず、容器包装を中心にプラスチック製品の生産総量を大幅削減し、すぐに削減できないものは再使用(リユース)するなど、確実に循環利用していく仕組みが不可欠であると提示した。それには、拡大生産者責任の強化などに基づく社会・経済システムの構築が必要であるとしている。しかし政府の施策案では、新たな環境問題につながる恐れのある「代替品の積極的利用による削減の徹底」と「大量廃棄を前提とした回収とリサイクルの推進」に依存しており、問題の本質である大量生産・大量消費・大量廃棄社会からの転換を図るものになっていないと同ネットワークは指摘した。有害化学物質による悪影響の発生予防対策の導入や、国際的な解決の枠組みを早急に発足させることも重要だとしている。

そこで同ネットワークのメンバーおよび賛同23団体は、プラスチックの生産・使用および廃棄に伴う環境負荷を総合的に抑制するための脱プラスチック戦略推進を図る基本法案「脱プラスチック戦略推進基本法(案)」を政府に提案し、同基本法案で示した脱プラスチック戦略推進計画の制定と、関連する基本的施策の導入と遂行を求めていくとしている。

なお、同基本法案を提出したメンバー団体と賛同団体は下記の通りだ。

減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク

メンバー団体(五十音順)
  • 特定非営利活動法人 OWS
  • 国際環境NGO グリーンピース・ジャパン
  • 一般社団法人 JEAN
  • 公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
  • 全国川ごみネットワーク
  • 特定非営利活動法人 ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
  • 一般財団法人 地球人間環境フォーラム
  • 公益財団法人 日本自然保護協会
  • 特定非営利活動法人 日本消費者連盟
  • 公益財団法人 日本野鳥の会
  • 特定非営利活動法人 パートナーシップオフィス
  • 特定非営利活動法人 プラスチックフリージャパン
  • 容器包装の3Rを進める全国ネットワーク
  • 一般社団法人 リアル・コンサベーション
賛同団体(五十音順)
  • 特定非営利活動法人 アーキペラゴ
  • 小山の環境を考える市民の会
  • 環境問題を考える会
  • さがみはら環境問題研究会
  • 特定非営利活動法人 スペースふう
  • 奈良エコライフ研究会
  • Hamaumi-浜松の海を守る会
  • 特定非営利活動法人 プロジェクト保津川
  • 山梨マイクロプラスチック削減プロジェクト

※1:2019年 プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況より
※2:SINGLE-USE PLASTICSより

【プレスリリース】「脱プラスチック戦略推進基本法(案)」を策定―NGOが共同提言する日本のプラスチック関連施策の在り方
【参照サイト】脱プラスチック戦略推進基本法(案)
【参照サイト】脱プラスチック戦略推進基本法(案)概要
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