フィンランド化学産業連合はこのほど、Sitra(フィンランド・イノベーション基金)と政府機関ビジネスフィンランドと共同で、化学産業向けのサーキュラーエコノミー解説書を発行した。カーボンニュートラルの実現に寄与するサーキュラーエコノミーへの移行に際して、新たなビジネスが求められていくなか、そのヒントを与えるものとして活用されることを見込んでいる。

解説書には5つのビジネスモデル(循環型原材料の利用・製品のサービス化・製品寿命の延長・シェアリングプラットフォーム・原材料の回復)や、サーキュラーエコノミーの事例が挙げられており、各企業にとっては自らの経営状況を評価しながら、新たなビジネスモデルを創出する際の参考となる。化学産業がより一層の持続可能な経営を推進できるように必要情報が盛り込まれた解説書として位置づけられる。

化学産業は、すでにカーボンニュートラルを2045年までに達成することを掲げており、そのためのロードマップは今月に完成予定。しかし多数の企業はより意欲的な独自目標を掲げている。さらに、二酸化炭素排出削減に貢献しうる技術に関する報告書「Carbon Neutral Chemistry 2045(化学産業のカーボンニュートラル)」も1月に発行されており、10月まで調査は継続されるという。

フィンランド化学産業連合 Carbon Neutral ChemistryプロジェクトマネジャーのRasmus Pinomaa氏は、「企業は気候変動を深刻に捉えて、短期間で解説書の作成に取り組んだ」とその成果を強調。今後フィンランドの化学産業は、カーボンニュートラル実現に寄与するサーキュラーエコノミーへの移行に向けて重要な役割を果たしていくことが予想される。

利益を確保することは気候変動に対する投資の前提条件だ。そのため、持続可能なビジネスモデルはカーボンニュートラルの土台となる。さらに、カーボンニュートラルを達成するためにはサーキュラーエコノミーへ移行できるかどうかが鍵を握る。今後、フィンランドの化学産業がどのような道を歩んでいくかが注目される。

解説書はこちらからダウンロードできる。

【解説書】 Sustainable and circular business models for the chemical industry – Circular economy playbook for chemical companies
【参照記事】Circular economy playbook for chemical industry companies
【参照レポート】Carbon Neutral Chemistry 2045