ハーチ株式会社と愛知県蒲郡市は9月30日、オランダに拠点を置くグローバルなインパクト組織Circle Economyと連携し、蒲郡市における循環経済の移行状況を雇用の視点から分析したダッシュボード「Gamagori Data Explorer」を公表した。

本ダッシュボードは、Circle Economyと国連環境計画の協働により開発された「Circular Jobs Methodology」(循環型雇用方法論)に基づくもの。自治体内のサーキュラーエコノミーに関わる仕事「Circular Jobs」(循環型雇用)の割合を示し、循環型雇用率の向上に向けた政策の優先分野を特定する役割を担う。本方法論に基づいた循環型雇用に関する分析は、日本の自治体としては初めての取り組みだ(同社調べ)。

蒲郡市は2021年11月に「サーキュラーシティ」を表明。2022年度には重点分野を教育、消費、健康、食、観光、交通、ものづくりの7つに定めた。過去3年間で「サーキュラーシティ蒲郡チャレンジフェスティバル」や「サーキュラーシティ蒲郡実証実験プロジェクト」といったさまざまな取り組みを実施し、循環経済の推進に注力してきた。しかし、進捗状況を定量的に把握すること、データをもとに政策的優先順位を付けることが課題であったため、「Gamagori Data Explorer」を導入した。

「Circular Jobs」(循環型雇用)は、直接的に循環経済に貢献する「Direct Circular Jobs」と、間接的に貢献する「Indirect Circular Jobs」の2種類に分類され、その割合は「循環型雇用率=(直接循環型雇用数+間接循環型雇用数)/自治体の総雇用数」として算出される。

分析の結果、蒲郡市の循環型雇用率は1.7%と算出された。業界別に見ると、最も多くの循環型雇用が見られたのはサービス業界であり、次いで小売・卸売業、不動産・物品レンタル業が続く。また、循環型雇用率が高かったのはユーティリティ業界(電気、ガス、熱供給、水道業)であり、建設業、サービス業が続いた。一方で、医療・福祉、宿泊・食品、輸送業界は、雇用者数が多いものの循環型雇用率が低く、循環型雇用の成長余地が大きいとされている。

今後の展望として、蒲郡市は循環型教育やリスキリング、循環型雇用創出のための職業訓練プログラムなど、政策インセンティブを用意していく考え。また、雇用者数が多いサービス業や製造業における循環型雇用の拡大も図っていく。

蒲郡市のダッシュボードは国勢調査や市が保有するオープンデータを活用しており、他の自治体にとっても参考になるだろう。

Circle Economyが運営するサーキュラーエコノミー実践事例を集めたデジタル・プラットフォーム「Knowledge Hub」では、蒲郡市の事例をまとめた特設ページも開設されている。

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(※画像の出典:ハーチ株式会社)