世界経済フォーラム(WEF)のサーキュラー・エコノミー・イニシアチブは、3月2~3日に開催されたWEFの循環経済ラウンドテーブル会合において、日本の「循環経済パートナーシップ」に対し、戦略形成などを促進していくことを発表した。「循環経済パートナーシップ」は、環境省と経済産業省、および日本経済団体連合会(以下、経団連)が3月2日に創設した新しい連携である。

環境省とWEFのサーキュラー・エコノミー・イニシアチブが共同開催した今回の循環経済ラウンドテーブル会合では、循環経済を実現するための動向・政策・先進的な実践方法について議論された。同会合には、小泉進次郎環境大臣、オランダのスティンチェ・ファン・フェルトホーフェン環境大臣、東京大学理事でグローバル・コモンズ・センター ダイレクターの石井菜穂子氏、三菱ケミカル株式会社代表取締役の和賀昌之氏、経団連副会長の杉森務氏、世界経済フォーラムのボルゲ・ブレンデ総裁が登壇した。

小泉環境大臣は「循環経済パートナーシップ」の発足について発表した。同パートナーシップは官民連携により、日本の先進的な循環経済に関する取り組み事例収集と国内外への発信・共有、および循環経済に関する情報共有やネットワーク形成を目的としている。同パートナーシップは、レジ袋有料化など、プラスチック資源の循環促進を目的とした最近の他の取り組みに基づくものだ。日本政府は2021年、持続可能な金融を加速させるための企業向け投資・開示ガイダンス持続可能なプラスチックへの代替を促進するためのバイオプラスチックロードマップを公表している。

日本の変革は、他国の企業経営層や政策立案者にとって重要な手本となるだろうとWEFはみている。さらに、WEFのサーキュラー・エコノミー・イニシアチブが「循環経済パートナーシップ」の戦略形成支援を約束したことから、同パートナーシップの活動の発展が期待されるとしている。

小泉環境大臣は、「日本は今、脱炭素社会・循環経済・分散型社会に向けた『3つの移行』を加速させ、社会経済システムを再設計しています」と述べた。

オランダのスティンチェ・ファン・フェルトホーフェン環境大臣は、「政府は市場を刺激し、循環性に対するインセンティブを生み出すことで、官民連携において重要な役割を果たします。オランダの循環経済プログラムは、2030年までに天然資源の使用半減を目指しています。行動こそがすべてです。循環経済なしには、カーボンニュートラルを実現できません」と語った。

WEFの循環経済・イノベーション部門の責任者であるアントニア・ガヴェル氏は、「政府指導者は、新しい政策・協力・取り組みがいかに大きな影響を与えられるかを示しています。循環経済は、ネットゼロの脱炭素化達成と気候保護に不可欠であり、取り組みの加速が非常に重要です」と述べた。

WEF「サーキュラー・エコノミー・イニシアチブ」について

官民・市民社会・専門家などのステークホルダーを結集し、現在のリニア型経済から、循環型社会への移行加速を目指す。世界中から専門家や主導者が集まり、第4次産業革命の影響拡大・指導者層の魅力的な取り組み・物質的価値連鎖の変革という3つの重要な柱を推進している。

【プレスリリース】Japan Launches Circular Economy Collaboration with World Economic Forum
【プレスリリース】環境省、世界経済フォーラムのイベントで新たな循環経済連携を発表
【参照サイト】How governments in Japan and the Netherlands are accelerating the circular transition
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