環境・経済産業両省は10月20日の審議会で、プラスチック製品を製造販売する企業がプラスチックごみを自ら回収する取り組みを促進する方針を明らかにした。プラごみの自主回収は、スーパーなどで食品トレーを集めることなどが多かったが、製造者が責任を持って回収・リサイクルすることを促す。下記、審議会で議論された点を整理する。

リデュースの徹底

リデュースについて政府は、プラスチックの過剰使用の抑制を図ると同時に、代替可能性があるものについては同等の機能を保持したうえで、再生材や紙、バイオマスプラスチックなどの再生可能資源への代替を促進する方針だ。なお、排出抑制のための環境配慮製品設計の指針を打ち出すことが明らかにされた。

回収とリサイクル

企業は自社のプラスチックを使った使用済み製品だけでなく、他社の同種のものも含めたプラスチック製品も一緒に回収・リサイクルできるようにする。自主回収に協力した消費者にはポイントを付与するなど、回収量向上策を検討する。

一方、家庭から排出されるプラごみの自主回収だけでなく、製造過程などで出る事業系ごみについてもリサイクルが進むよう環境整備していく構えだ。

代替素材の利用促進

設計段階では、使い捨てプラスチック製容器包装製品の製造事業者やブランドオーナーが取り組むべき環境配慮設計の指針を示し、業界ごとの製品設計の標準化を促していく。製品化の段階でも使うプラスチックの量を減らし、必要不可欠な用途については、持続可能性を高めるため再生素材やバイオマスプラスチックなどの代替素材の利用を促進する。さらに、再生材の需要喚起策やインフラ整備等を推進し、入口と出口の双方からアプローチしていく。

また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、衛生目的を中心としたプラスチックの果たす役割が再認識されるとともに、必要不可欠なプラスチックが増加する事態も発生している。このような状況を踏まえれば、「3R+Renewable」の基本原則に沿った対応がこれまでにも増して重要となることが強調された。こうした事情も適切に織り込みつつ、循環システム構築への道筋を具体化していくべきだとした。資源循環の高度化に向けた環境整備の具体化を通じて、循環型経済への移行に向けた「リデザイン(再設計)」を進め、環境・経済・社会の三方よしを目指していく方向だ。

来年の通常国会への新法案の提出を視野に年度内に議論をまとめ、2022年度以降の制度開始を目指す。政府は、「2030年までに使い捨てプラスチックを25%排出抑制する」「2025年までにリユース・リサイクル可能なデザインに」「2035年までに使用済プラスチックを100%リユース・リサイクル等により、有効活用」などの目標をプラスチック資源循環戦略で掲げている。なお、環境省は新型コロナ危機以降、「脱炭素社会」「循環経済」「分散型社会」への「3つの移行」を推進することを表明済みだ。プラごみの拡大生産者責任の動向は、脱炭素社会や循環型経済への移行に大きく影響を与えるとして、引き続き注視していく。

【参考(環境省)】中央環境審議会循環型社会部会プラスチック資源循環小委員会、産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会プラスチック資源循環戦略ワーキンググループ合同会議(第6回) 議事次第・配付資料

【参考(経済産業省)】今後のプラスチック資源循環施策の基本的方向性を踏まえた主な施策について産業構造審議会 産業技術環境分科会 廃棄物・リサイクル小委員会 プラスチック資源循環戦略ワーキンググループ 中央環境審議会 循環型社会部会 プラスチック資源循環小委員会 合同会議(第6回)