鎌倉市や慶應義塾大学など多組織が参画するプロジェクト「リスペクトでつながる『共生アップサイクル社会』共創拠点」はこのほど、学校向けポータル「循環者になろう」特設サイトを開設した。

同プロジェクトは、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)による「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」の地位共創分野・本格型プロジェクトとして採択され、2032年まで実施される予定だ。代表機関は慶應義塾大学、幹事自治体は鎌倉市、幹事企業は株式会社カヤックで、企業26社が参加している。COI-NEXTの地域共創分野の目的は、地域大学などを中心に地方自治体や企業などと提携して、地域の社会課題解決や地域経済発展のための自立的・持続的な地域産学官共創拠点を形成することだ。

「循環者になるまち~社会でまわす、地球にかえす、未来へのこす~」が、同プロジェクトのビジョンである。これまで鎌倉市内の小中学生を対象に実施されてきた代表的な環境教育・創造性教育の事例を「社会でまわす」「地球にかえす」「未来へのこす」の3つの軸で整理し、3つの軸を融合させた「循環者教育」のカリキュラムの共創を目指す。同プロジェクトは、3種類の「循環」が相互に連動し、確実に進んでいくまちの姿を小学生にもわかりやすい「カタツムリ・モデル」として提示した。プロジェクトリーダーの慶應義塾大学田中浩也教授は、「カタツムリ・モデル」が子供たちだけでなく、幅広い世代に循環型まちづくりの概念と世界観を伝えるツールとなっていくことに期待を寄せている。

特設サイトは、同プロジェクトで「循環者学習分科会」の事務局を務める株式会社高山商会が主導・公開した。今後、循環者学習分科会は大学や企業による最新の研究事例をわかりやすく紹介するコーナーなどを設け、小中学生向けカリキュラムの充実を図る。加えて、これらのカリキュラム導入に関心を持つ学校現場との連携を深め、同プロジェクトのビジョンと目標の達成に向けて、次世代育成と市民意識醸成を図っていきたい考えだ。

特設サイトは、同プロジェクトが実施する取り組みの一環だ。主な取り組みは、「10年後の未来を見据えて、慶應義塾大学を主体に小学生や中学生を対象とした循環者教育のためのカリキュラムを提案する」「微生物からAI(人工知能)までをつなげ、循環の中から新たな付加価値を創出する共生アップサイクルを実践し理論化する」「株式会社カヤックが開発した地域デジタル通貨などを連動させ、資源循環への参加を通じて住民に資源循環活動を促し、ウェルビーイングを向上させる社会システムを実装する」である。今後10年間実施される予定の同プロジェクトが、さまざまな世代および組織と協働して循環型まちづくり形成に貢献するとともに、取り組みを広く共有していくことが期待される。

【プレスリリース】「循環者教育」特設サイトを公開 -環境教育と創造性教育を融合した小中学生向けカリキュラムの共創へ向け始動-
【関連記事】慶大・カヤック参画プロジェクト、JST「共創の場形成支援プログラム(地域共創分野・本格型)」に採択
【関連記事】【アーカイブ動画購入可能】「サーキュラーエコノミーで私たちは”幸せ”になれるのか?~ウェルビーイングが高まるコミュニティのカタチ」
*冒頭の画像の出典:株式会社高山商会